True END １１ ページ34
俺と柊君は、表向きは惨劇のショックで精神的な面で入院が必要となり、他の皆は蘇生したとはいえ多量出血でずっと仮死状態だった事から、今後の生活において障害が残らないかどうかの検査入院を強いられた。
特に柊君は、楓君を殺した事が余程のショックから定期的に震えて泣き出す様になった。
そんな時は生還した楓君が傍にいる事で、落ち着きを取り戻している。
実際に、楓君を助けてくれたのは柊君だしね。
現在も、ミス研部員は検査の為病院にいる。
少なくとも夏休みは病院で過ごす事になりそうだ。
皆、同じ病院にいるはずなのに、互いの罪悪感と気まずさ故に顔を合わせる事が少なくなった。
特に桜は椿部長の声すら聴きたくないらしい。
しかも俺と杏を椿部長と合わせない様にしている。
更に桜は、あれ以来楓君と口を聞いていない。
水樹曰く「楓の事を無理矢理嫌いになろうとしている」らしい。
桜らしくないのでそれはどうにか止めたい所だけど、桜はいつになく必死だった。
「日向と水樹の友達だけど、無理。嫌いにならないと保てない」
そう言って自己暗示の如く楓君を嫌う様にしているからどうしようも出来ない。
今は、杏と菫と話をして過ごしている。
俺は、菫と形的に仲直りはしたもののあまり会話は出来ていない。
竹貫先生とも、あまり話さなくなった。
家族なのに、桜とも目を合わせる頻度が少なくなった。
杏に関しては、俺自身がどうしても気持ちの整理がつかない為距離を置いている。
暫く栗栖野家は男と女で別れて行動しそうだ。
椿部長は自ら孤立しているし、妹の撫子ちゃんがお見舞いに来ても曖昧に返事を濁すだけだ。
先生達は先生同士で色々と話し合っている。
俺達男子4人組は今まで以上の関係になって過ごす様になった。
あの日の夜に、一杯泣いて一杯話して本音をぶちまけた事が、俺達の関係に大きな変化をもたらしたからだと思う。
俺は、変わってしまった皆の関係を見て涙を流す事が多くなった。
たまに「俺が最初から記憶を取り戻していればこんな事にはならなかった」と口にしてしまう時がある。
けれど水樹達3人は俺を咎めず、全員「あの日の事件は全員が悪い」と返した。
「全員被害者だけど、加害者でもある。皆自分の罪と向き合っている最中だから、1人過去を振り返って焦っても解決はしないだろ」
水樹の言う通り、今皆は自分の犯した罪と向き合っている。
なかった事にされた法律的な罪ではなく、実際に起きた己の記憶の中の罪と。
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
