True END １０ ページ33
西崎先生もあの時は正常な判断は出来なかったから竹貫先生を止められなかっただろうし、菫は桜の傍から離れずにずっと泣いていた。
竹貫先生は初日で…だったし、数日間仮死状態で時間感覚分からなかっただろうな。既に3日経っていたなんて。
あれだけ皆の血液が屋敷中に散乱しているのに、全員が生還しているというおかしな事態に警察も頭を抱えた。
故に最初はこんな大事件であるという事と、ポリタンクとライターの件もある為、俺達の中の誰かを犯人に無理矢理確定しようとしていたらしい…屑だ。
(それを止めたのは西崎先生のお父さん…地位の高い警察官の人だったので、何とか誰も犯人扱いされずに事なき事を得た)
仕方なく、椿部長が所持していた少量の毒入りオレンジジュースと、柾さんの日記帳を証拠として提出し、更に水樹達の証言によって今回の事件は「非科学的な不運の事故」扱いとなった。
研究員がそのオレンジジュースをマウスに飲ませて実験を行った所、柾さんの日記帳と水樹達の証言が本当だった為、警察の人達も仕方なく「事故」で片付ける事にしたらしい。
実際、ポリタンクによる被害は0だった訳だしね。
オレンジジュースの毒は感染者の血が偶然入った事にして片付けられたし(椿部長の注射器の件は西崎先生が何とかしてくれたっぽい)
橋の件だって、毒によって狂った犬達の仕業と言えば仕業だし……
何より全員生きているのがその証拠だし、非科学的な花の脅威の前ではそう言わざる負えなくなったというか、何と言うか…
…その辺は全部俺が眠っていた1週間弱の出来事だったから、俺は何もしていないんだけどね。
結果的に誰も死ななかったから、殺人を犯した人達は皆無罪放免となった。
罪だらけの俺も、だ。
刹那さんと柳先輩を突き落とした罪
竹貫先生を死に追いやった罪
疑いもせずに杏に毒を飲ませた罪
曖昧でぼんやりとしているけれど、菫と椿部長と桜を殺した罪
取っ組み合いで水樹を刺殺した罪
柊君の身体中を傷付けた罪
楓君を１人ぼっちにさせた罪
楓君の家族滅茶苦茶にしたきっかけを作った罪
……紅葉を死なせるきっかけを作った罪
俺は、目が覚めたら皆に償う気でいた。
捕まると思っていた為なんとも言えない気持ちになった。
皆、俺を責めない……俺を咎めない……俺を拒まない……
責められない辛さが、こんなに痛い物だとは思わなかった。
以前と同じではないが、それでも優しく接してくれる皆の気持ちが、俺には痛かった。
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
