True END ９ ページ32
あの花の毒の効力について、俺は水樹達から全てを知った。
感染していた竹貫先生は一度死に、そして体は蘇生されて健康状態になっているはずだ。
なのに、何で蘇生されたにも関わらず、まるで「大型トラックに追突されて大怪我した」様な重傷を負っているのか。
というか竹貫先生、救助隊がやってくる前に何があったんすか…
俺は水樹と楓君と柊君に聞こうと振り向いたが……
……全員、滅茶苦茶竹貫先生の事を憐れむ様な目で見ていた。
俺は、3人から竹貫先生に何があったのかを聞く事にした。
水樹達3人が花の毒からの生還方法を見つけ実行した直後……
蘇生を終えた竹貫先生・菫・西崎先生が全員を探して屋敷中を探し回った。
最初は椿部長と杏の遺体を見て愕然としていたが、呼吸している事が判明して戸惑ったらしい。
更に、玄関付近には柊君と血濡れの俺が壁にもたれ掛かって眠っていた。
2人共怖い思いをしたとは思えない程の安らかな表情で、ますます3人を混乱させたらしい。
極めつけは、温室には呼びかけると目を覚ますぐらいには意識を取り戻した水樹と楓君……
そして、水樹の下に重なる様にして倒れている―――感染した桜がいた。
感染して倒れている桜達を見て、菫はパニックを起こした。
そんな菫を見て、明け方に竹貫先生は我先に屋敷の外に出て、橋以外の脱出口がないか探し始めたのだ。
曰く『空木邸に駐車場があるという事は、橋以外に車で通れる広い道があるのかもしれない』との事。
元々竹貫先生は生徒の為なら自分の身を削る行動派な熱血タイプだ。
大切にしている菫の親友である桜を助けなければいけない気持ちと、これ以上犠牲を出す訳にはいかないという正義感……何より泣きじゃくる菫をこれ以上見たくなかったからなのかもしれない。
しかし、3人共蘇生したとはいえ暫く仮死状態だったのだ。
身体が上手くコントロール出来ず、体調も万端ではない上に、判断能力も鈍っている。
そしてその結果…
竹貫先生は、10年前に水樹が落ちた所謂「見晴らしが悪い罠モドキの崖」に落ちてしまい…
「楓、俺思うんだけどさ…」
「うん」
「あそこさ、マジでガードレールかなんか設置してくんないかな」
「そうだね。君、人生で2回もあそこから落ちたもんね。僕、そのせいで巻き込まれたし」
「うっ…」
……水樹は、傷口を抉られた様な顔をしていた。
「で、竹貫先生は助けに呼びに行ったつもりが救助されるなんて本末転倒ですね」
「うぅ…」(泣)
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
