True END ２ ページ25
いつまでも泣き続ける俺を、少し面白そうにして見ている紅葉。
『…泣き虫な所は、昔……むしろ昔以上じゃないかな？』
『………何だよそれ』
ちょっとムッとしてみる。
そんな俺を見て紅葉はまた笑った。
『だって、日向…我慢ばかりしてるんだもん。転んでも泣くの我慢してたし。
痛いなら泣いたって良いのに……』
『…………』
『水樹にも言えるけどさ、我慢は良くないよ？我慢してると、今度は「笑う事もやめよう」って思い込んで笑えなくなっちゃうよ？』
『……そう、だね。泣くの我慢出来なかったよ。
さっき、男4人で一杯泣いて……
………うん、本当に…生まれて初めて、あんなに泣いたかもしれない。』
温室での出来事を思い返すと、本当に俺達全員沢山泣いたなと実感した。
『……昔は、自分を責めながら泣いていた。
自分がいなくなれば良いのにって……自分の事ばかりだった。
だけど……紅葉ともう一度向き合ってみたら、そんな事で泣きたいんじゃないって気付いた…』
『………うん』
『紅葉……俺は、ね』
『うん』
『……紅葉の事、本当に大好きだよ。それは今も、ずっと変わらない』
『……』
『俺の、憧れだよ。誰かを励ましたり勇気づけたり…
自分の足で色んな所を探検して歩く姿が凄くカッコ良かった。
紅葉みたいな子と友達になれて……嬉しかった。
紅葉がいてくれたから、楓君と友達になれて…柊君に、出会う事が出来たんだ…
…一緒にいて、とても楽しかったよ……』
『……うん』
目を瞑れば、君との想い出が蘇る。
優しい想い出、楽しい想い出…笑いまくった想い出…
同時に、君を助けられたらどんなに良いか…という叶わない世界を思い浮かべてしまう。
でも……
紅葉の時間は、10年前に止まっている。
それは、変えようのない事実だ。
『…紅葉、本当に…ごめんなさい。あの時、動けなくて…ごめんなさい。
それで………それで……
…俺を……助けに来てくれて……ありがとう……』
目を開けると、そこには
あの日の幼い紅葉が、優しい顔で俺を見ていた。
俺は、紅葉の目線に合わせる様に、しゃがみ込む。
『紅葉――――』
紅葉は、小さな体で俺を抱きしめる。
『…………！』
『僕もね、日向の事大好き。日向に出会えて良かった。
……それは、10年経った今も変わらない。また会えて、話せて良かった…』
『…………』
『……日向。最後に、約束して欲しい事があるんだ。』
『約束……？』
『――――――――』
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
