第445話 見つけた救出の答え ページ20
「そう考えると、先輩も感染しているはずなのに……おかしいよね」
……雛森は感染した後、楓によって溺死させられた。
なのに、今は生きて更生施設にいる。
……雪村先輩は、水樹の血を飲んで感染した後、手首を深く切った。
なのに、今は生きて療養を取っている。
「……どうなってるんだ？あの2人は感染していてどのみち死に至るはずだし…
死因が毒ではないにしろ確実に死んでもおかしくない状態なのに………どうして今も生きてるんだ……？」
…分からない。
だけど……何か、見えてきそうだ。
マウスの実験で、健康な体も病弱な体も関係なく、感染して放置すればそのまま花の生命力に耐え切れずに血を吐いて死亡する…という事が分かった。
病弱な鈴川が、それを実証している。
ところが、例外なのは桜、梓さん…新たに雛森と雪村先輩だ。
4人は、毒ではなく、それぞれが何らかの形で死亡した後にも関わらず生き返って…
この、4人の共通点は……
――――まさか…！
「か…楓！お前はあの事件の日、柾さんが帰って来た後、一緒に紅葉と梓さんを探し周ったんだよな？」
「？うん、そうだよ。
その際、何故かお父さんは「お母さんを助ける為に」包丁を手に取って―――」
楓は、ハッとした表情になった。
水樹も、何かに気付いた様な顔になる。
「―――そう、言う事か……！
今、分かったよ……
お父さんが、どうしてお母さんを助ける為に包丁を手に取ったのか……！」
毒で死なずに生き返った4人の共通点……
それは…
「――――4人は、毒以外の方法で死亡している……
生命力が凄まじい花の毒から助かる方法は、“感染した後、毒以外の方法で死ぬ事”なんだ…！」
「……花の持つ強い生命力を消すなら、その生命力を使いきればいい…
一度、生命を絶つ事が最大のベストなんだ……
…楓、柊…人の死臭って、嫌な臭いがするのは良く聞いたけど、この屋敷では血液の生臭い匂いしか感じられなかったよな……？」
「そういえば……死臭って、こんなものなのかなって思ってはいたけれど……」
「―――もしかしてたら竹貫達は…今は花の生命力が働いている状態なのかもしれない。
死臭っていうのが感じられない……だから、痣が…残ったままなのか……？」
水樹の言葉に、また1つの希望が見えた。
という事は…！
「誰も、死んでねぇって事なのか……！」
楓も、日向も、皆誰も殺していない事になる…
全員、生き返る可能性が極めて高い……！
第446話 それぞれの望み １→←第444話 雪村先輩について
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
