第443話 元同級生・ 雛森について ページ18
俺と楓は、水樹の口から出た雪村先輩の名に目を見開いた。
一方の水樹は、雛森の名前を出した楓と俺を交互に見る。
「…おい…どういう事だ？雛森が花の毒と関わっているのか…？というか…」
―――水樹の次の言葉に、俺と楓は驚愕の事実を知る事になる。
「そもそも雛森は、今は更生施設にいるのに――」
「え……!?」
「…水樹君、どういう事!?雛森さんは生きてるの!?
それに病院って…そんな話、僕達は聞いた事ないよ…!?」
楓が驚きを隠さず水樹に詰め寄る。
俺も同じ気持ちだ。
どういう事だ…!?
水樹は言いにくそうにしていたが…やがて諦めた様に口を開いた。
「あぁ…まぁ、そりゃ俺以外知る訳ないもんな…」
「どういう事…？」
「実は、去年の夏休みに竹貫から連絡あってな……」
「竹貫先生から？」
「雛森の騒動覚えているだろ？学校では雛森は今も行方不明扱いになっているけど…実は、学年の連絡網とは別個に、竹貫から連絡があったんだ」
『学校側は、生徒の怒りを鎮める目的で雛森をずっと行方不明扱いにする方針でいるが…
実際は、今雛森は隣県の病院で入院しているんだ』
『そうなんすか』
『雛森にストーカーされていたお前に言うのも変だが……
今は、雛森の理解者が1人でも必要なんだ。
アイツは間違いを犯したが…家を追い出され居場所がなく、周りから存在を否定されたままでは…アイツは間違いから抜け出せない。』
『何で俺に言うんすか』
『お前は誰にでも平等で秘密は守る方だから……俺の我儘に巻き込んで、すまない…』
「俺自身も思う事があったから、実は独断でちょこちょこ雛森の様子を見に行ってたんだよ。
竹貫から病院先を聞いて、ね。今は…アイツは更生施設で過ごしている。」
俺と楓は、唖然として水樹の話を聞いていた。
見かねた水樹が首を傾げる。
「…で、雛森がどうしたんだよ？
つーか…雛森が行方不明なのって……何？花の毒…というかお前ら何か知ってるの？」
………これは…もう、黙ってはいられない……
「楓…」
俺は楓に話を促した。
……楓は意を決して、話した。
………去年の夏、楓は追い出された雛森をこの屋敷に招き、感染させた後激流の川に突き落とした事を……
……雛森は、悪い奴じゃない。
俺と同じで、両親から愛されずに捨てられて…あんな風になってしまっただけだ。
心の拠り所が無くて、誰も信じられなかったが故に……
もしかしたら雛森は、俺なんかよりも辛い思いをして来たんだろうな…
第444話 雪村先輩について→←第442話 毒以外で死んだ面々について
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年8月8日 21時
