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第436話 あの子の望みは 1 ページ11

「…罪……?」



じゃあ、俺の罪は……?


俺は、どうしたら償えるんだよ……?



俺の罪は、あまりにも大き過ぎる。


命じゃ、償い切れない。



「…どうやったって、俺が始まりな事には変わりない……


だって、あの子の死を防いでいれば……


あの子さえ、生きていれば……


でも、もう…俺は紅葉に会えない……
紅葉は、許してくれない……


家族を滅茶苦茶にして、楓を独りぼっちにさせて、命を奪って……」



「―――ねぇ、日向君。」


楓君が優しい声で問いかける。


「本当に、紅葉はそんな事望んでいた?」
「…えっ?」
「…紅葉は、人を恨む様な子だった?」
「………」
「紅葉は、簡単に人を憎む様な子だった?」
「…それ、は」



………



「………違…う」

「うん、紅葉はそう簡単に人に刃を向けたりしない。兄の僕が保証するよ。
一度好きになったら、最後まで守り抜く子だよ。友達や家族だったら、尚更。

きっと……あの時の紅葉は、お母さんと日向君を守りたかったんだよ」

「…え……俺の事、も…?」

「そうだよ。だからあの時紅葉は君に「逃げて」と言ったんだ…


―――君に、生きて欲しいから………」


……生きて欲しいから……?


「生きて……だから、あんな…熱を出して弱ってでも……刹那さんに……?」
「そうだよ。結果的に無惨に殺されてしまったけど……
でも、紅葉は君を恨んだりなんかしない。
むしろ、親友の君に恨んでいると思われている方が、紅葉にとってはとても辛い事だと思う」

楓君は、真っ直ぐ俺の目を見つめる。


「…日向」

口を閉ざしていた柊君が、俺に声を掛ける。

「……俺も、お前と同じだ。俺が生まれたせいで数々の命が犠牲になったと自分を恨んだ。
紅葉を殺した親父がとても憎くて…それ以上に俺が空木家に関わっちまったせいで親父に目をつけられて……とても、悔やんだ。」

「…柊君」

「―――けど……紅葉の優しさを…無かった事には出来ねぇだろ?」

「……優しさ?」

「俺は、お前と紅葉の間がどんなものだったかは知らねぇ。
知らねぇけど……お前が紅葉の優しさに救われた様に、俺もアイツに救われたんだ。
……こんな俺でも嫌な顔せずに…むしろ自分から俺を仲間に誘ってくれる様な、本当に暖かい奴なんだ。」


……そうだ。
紅葉はそうやって、守りたいものは何が何でも守ってくれた。

俺が転びそうなるのを防いで逆に怪我をした時もあった。
だけど紅葉は「大丈夫!?」と言って俺の心配してくれた。

第437話 あの子の望みは 2→←第435話 背負うべき罪は 2



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作者名:tsurara | 作成日時:2018年8月8日 21時

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