血染めの花＝ヒュウガミズキの記憶＝ 11（終） (ページ2)

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第427話愚かな俺の罪の記憶　８ページ2

紅葉と楓と出会ったのは、10年前
あの事件が起きる数ヶ月前だ。

初対面の紅葉とは出会った時から結構意気投合した。

……けど、実を言うと、本当は新しい子達に会うのが不安でたまらかった。
紅葉を真似して、無理矢理明るく振る舞っただけだったんだ。

紅葉は最初から俺達に優しかったけど、楓は俺達を怪訝そうに見ていて怖かった。

楓の事は、この時は俺から話しかけるのが怖くて話しかけ辛かった。

水樹は人見知りというか家族以外の人間を毛嫌いしていたので、当然ながら紅葉と楓に話しかけるなオーラを出して、1人でぼーっとしていた。

だけどこの少し後に楓と水樹がちょっと打ち解けたのをきっかけに、2：2だったのが…徐々にではあるが、少なくとも最後の辺りは4人でいる様になった。

水樹の心を開いてくれたのは楓で、対する俺の心を開いてくれたのは紅葉だった。

初日のあの言葉を、今なら思い出せる。

『日向って、楓の事…怖い？』

『え？……分からない。だけど、俺達の事嫌ってると思う。怖い顔してたもん…』

『うーん、怖い顔をしてたのは、多分日向と水樹は関係ないよ？』

『…そうなの…？』

『まずはさ、僕みたいに元気に話しかけてみようよ！挨拶や感謝だけでも、きっと楓話しかけられて嬉しいよ！』

『……そうかなぁ』

『そうだよ！だからさ、また僕達と遊ぼうよ！僕ね、もっと2人の事知りたいんだー』

紅葉のお陰で、俺は楓とも話せる様になった。
水樹も楓が傍にいてくれたから、不器用なりに紅葉と接する事が出来たんだろう。

俺の知らない世界を、紅葉は連れてってくれる。
明るくて、元気いっぱいで、無邪気で、真っ直ぐで…何気ない言葉が人を元気にしてくれる。
そんな紅葉に、憧れを抱く様になった。

遊び仲間はそれなりにいるけれど、ほとんどの子達は俺の意見を優先して、俺が考えた遊びに従うだけだった。
飽きたらつまらないと離れていく子達もいた。

だけど、紅葉は違う。
紅葉は、何もない所から色んなものを出してくれる。
俺のつまらない話題でも、広げてくれる。
「つまらない」という言葉を、面白く変えてくれた。

この後、俺達は大人になって、その時にはどんな世界を見ているのだろう。
一緒に見た光景や想い出は、紅葉となら楽しいものになるに違いない。

そう思っていたのに―――――

目を開けると、俺は知らない場所にいた。

そして…知らない男の子の隣に何故か、横たわっていた。