第393話 応接室の遺体調査 ２ ページ37
まずは、部屋の状態からだ。
冷房は除湿にしまくり、それをかれこれ2日程かけているのでとても寒い。
菫と竹貫の周りには、初日と全く同じ状態の位置に、切られたリンゴ、皮、皿、トレー、フォークが散乱している。
それ以外には特に暴れ回った形跡はない。
「え……!?」
楓があるものを見て目を見開いている。
それは……テーブルに散乱した、血液だった。
いや、よく見るとソファにも血液が斑点の様に飛び散っている。
「何で、こんな所にも血液が…？」
「？それがどうかしたのか…？そりゃ竹貫は吐血したんだから飛び散っても…」
「…水樹君、竹貫先生の遺体はテーブルよりも下にあるんだよ？おまけにテーブルを背に向けているんだ。そんな状態で血液が付着するのって難しくないかな？」
「じゃあ…ソファに座った状態で吐血とか…か？」
「…今の僕達以上に、あの時の竹貫先生は死ぬまで毒に侵されていたんだよ？息苦しさも、体の熱さも、僕達よりもきっと……流石に椅子に座った状態を保つのは困難じゃないかな？」
「…そうだな。それは…俺達が一番理解してるもんな。」
鈴川の死を目撃した生徒も、鈴川が急に倒れて床の上で苦しんで、直後に血を吐いたって言ってたしな…
その時には立つ事はおろか椅子に座る事も出来なかったんだと思う。
もう一度絨毯を見る。
暴れた形跡があったら日向にも被害が及んでいるはずだし、散乱具合から見ると、食器一式は暴れて散乱したというよりは「落とした」って感じがするしな。
？
竹貫の遺体に、違和感を覚えた。
やたらと、手や首元に……何か違和感が…？
「どうかした？」
「あのさ…ちょっと竹貫の状態を再現していいか？」
「え？」
「あ、水も零していい？口から。」
「そ、そこまで…!?そんなはしたない事は……まぁ、調査だから別に良いけど…」
俺はペットボトルの水を口で含み、自分の両手を首元で押さえ、床に寝転がってみた。
水を喉の奥まで到達させ…そして……
咽た。
咳き込む俺を、楓が優しく背中を擦る。
「何がしたかったの君は…」
「っ…悪い…だけど、これで違和感に気付いたかも」
「違和感？」
「…この状態から竹貫が吐血したら…流石に手や首元を真っ赤にする必要はないよな…？」
「え………あ！」
俺は、絨毯に咳き込んだ水を吐いた。
結果、手や首元には飛び散っていないし、濡らしたのは絨毯だけだ。
だけど対する竹貫は…首元や、首を抑えている手にベットリと血液が飛び散っているのだ。
第394話 応接室の遺体調査 ３→←第392話 応接室の遺体調査 １（水樹視点）
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年5月8日 20時
