血染めの花＝ヒュウガミズキの記憶＝９ (ページ32)

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第388話愚かな教師の死の真相　２ページ32

あの後に噂で聞いたのは…死ぬ直前に鈴川の顔や体中には痣が出来ていたらしいが、血を吐いて暫くしたら消えたという事。

毒殺かと思われたが、血液には何の成分も含まれておらず、元々持病を持っていたらしいので病死という事で片付けられた。しかし、その持病も鈴川の過去の診断書が手違いだったかの様に、悪い部分は何も見つからなかったと聞いた。

それはまるで…花の毒を摂取したあのマウスと同じ……

「そうだよ」

楓が、諦めた様な…とても冷めた口調で吐露した。

「僕が、鈴川に毒を飲ませて殺害した」

鈴川を「先生」付けして呼ばなくなる。それ程までに、楓はとても怒っていた。
楓は、この合宿が起きる前から既に人を殺していたという事に俺は驚いた。

警察もお手上げ状態だった去年の夏の鈴川の騒動。
…そういえば、当時楓が警察に事情聴取をされていたのを思い出した。
理由は、楓が鈴川にお茶を淹れていたから…というのは他の奴らから聞いていた。
でもお茶に毒は検出されなかった為、楓はすぐに解放された。

……毒が検出されなかったのは、鈴川が死亡した頃には既に湯飲みに残っていた水滴が外気に何時間も晒された後で毒の成分は消えていたからだ。

どうして俺が当時そこまでどうでも良さげにしていたのか…
1つは、日向に陰湿な嫌がらせをしていた鈴川の事が個人的に嫌いだったから。
もう1つは…当時の俺と楓の関係は、今では考えられない程冷めていたからだ。
お互いに干渉をしない様にしていた。俺も、正直楓なら何とでもなるだろうと思っていて適当に受け流していた。

だけど、今となっては……もう他人事では済まされなかった。

「どうして、お前が鈴川を？アイツが…お前や柊に何かしたのか？」

「アイツは、日向君の人生を奪おうとしたからだよ。」

……は？アイツが、日向を？

「ほら、前に日向君が訳あって体操服で授業したでしょ？そのせいで鈴川に目を付けられて、僕と桜と菫で助けたんだ。」
「あ、あぁ…それは聞いた。日向、アイツに胸倉を掴まれそうになったって…」
「胸倉、ね……確かに、日向君達にはそう見えたかもしれない。でも僕は、アイツが日向君を…彼の後ろにある全開の窓に、追い込もうとしたのが分かったから何だよ。」

!?

「何だよ、それ!?」

俺は、楓から告げられた事実に怒りが一気に込み上げ、頭も少しクラクラする。

あのクソ教師は、日向を消す事まで考えていた……

その事実だけで、俺の心臓は異様な程脈打っていた。