第373話 仮説 ２ ページ16
今私は、頭の中で恐ろしい仮説を立ててしまった…
あくまで仮説だから…真実は分からない。
だけど……こういう時に私の直感は変な所で鋭いから…正しいと告げている気がする。
その証拠に、心臓の音がうるさい。
これ以上、知ってはいけないと悲鳴をあげている様に…
………最後は、応接室だ。
1日目に、竹貫先生と菫が毒に耐え切れずに血を吐いて…
そうだ…2人は花の生命力に耐え切れずに死んでしまった。
毒で、死んだ…血を吐いて、苦しんで死んだって…日向が言ってた。
―――ゆっくりと、応接室を開ける。
血の臭いに何だか慣れてしまった自分がいる。
ただ、何かそれ以外にも変な異臭も感じた。
「うっ…」
それは…1日目に日向が竹貫先生の為に持ってきたリンゴだ。
良く見ると…2人の周りに色々散乱している。
皮が剥かれた、食べたらアウトな程変色しているリンゴ。
器用に剥かれた長い皮…日向って本当器用だなぁ…リンゴの皮を剥くの大変だよ？
…私だったら実もごっそり切っちゃうよ…
後は…トレーと皿とフォークか…
誰も片付けないとは…書斎といい私達余所の家に対して色々無礼過ぎる…
楓は別の意味でも怒ってただろうな…
「まぁ…まずは確認しないと…」
ふと、私は日向の言葉を思い出した。
【か、体が…凄く、熱くなって…
…苦しいって…熱いって…
何度呼び掛けても、そればっかで……
俺、皆の事を呼びに行こうとしたんだけど…
お、遅かった…】
怖かっただろうな…目の前で、恩師であり兄の様に慕っていた竹貫先生が死んで……
菫の時も、あんな事言ってしまった事に後悔していたけど…最後には「伝えられた」って言ってたしね。
もう、これ以上誰も死なせたくない……
私は、もう一度2人の姿を見たくてシーツを広げた。
「―――――ッ!!」
私は、声にならない悲鳴を上げた。
何故なら…
「ど、どういう事…!?」
昨日シーツを掛けに行った時は、まだ半日も経っていなかったから何とも思わなかった。
だけど……2人の遺体を、あの時は全然直視出来なかったのに…今は逸らす事が出来ない程それぞれ全身を凝視してしまう。
あの時は、主に2人の顔を見ていたから「全体的な部分」は見て見ぬフリをしていた。
でも…今この2人が【こんな状態】と知った以上…
「これが本当なら…菫と竹貫先生は…!?」
「――――桜」
聞き慣れた声に
私はゆっくりと振り向いた。
そこに、いたのは……
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作者名：tsurara | 作成日時：2018年5月8日 20時
