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最終選別 3回目 ページ17

いつもなら息が上がる距離ではないのに、会場に着いた時に動悸が収まらなかった。

「体調悪そうだぞ、どうしたんだ? 六華……
 選別に行けなさそうなら今のうちに帰った方がいい。参加するなら俺も善処するが……」

錆兎がそんな私を見かねて声を掛けた。

「ううん、大丈夫。ちょっと緊張してるだけ」

義勇は、会場にいない。私が蔦子さんを助けたからここに来る理由がないのだ。



ついに選別が始まった。

数日が、あっという間に過ぎ−−。



「また来たな。俺の可愛い狐達が」

あの、嘲笑する様な声。


再び、私は手鬼と遭遇した。

「『また』だと……?」


錆兎が手鬼に飛びかかる。


「十……十一、で、お前達で十四だ」

「何の話だ」


腕を次々と切り落とす。


「俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ
 アイツの弟子はみんな殺してやるって決めてるんだ」

錆兎が首を斬ろうと跳びあがる。

無数の手が錆兎を襲う。


「氷の呼吸、壱の型。 結氷斬!」

まとめて腕をなぎ払う。



次の瞬間、錆兎が、手鬼の頸を斬った!




首は切り離されて転がり、手鬼はほろほろ崩れ始める。

鬼の前に膝をついて手を合わせた。

さようなら。来世は鬼になりませんように……

手鬼の眼から、涙が溢れる。

昔のことを思い出してるのかも……

いつの間にか、手鬼は一欠片も残さず消えていた。



悲しい。

鬼にされてしまったら、自分の意思と関係なく殺人を犯し、死体すら残さず死んでしまう。

手鬼だって、あれは本来の人格ではないのに。

本当は、鬼も助けたいけど私には殺す以外に出来ることがない。




でも、でも……っ!!!

良かった……っ‼

手鬼に勝てた!!

死ぬはずだった錆兎が生きてる‼


「六華……? どうした?」


熱い涙が、止めどなく溢れてくる。
ようやく、ようやく助けられた。


「!?」

「お、おい 少し落ち着け六華! どうしたんだ? 急に抱きついたりして!?」

「ぅうっ……グスッ……ざびど……よがっだよぉ……いぎでる……」


もう会場の鬼は、2人で全て倒してしまっていた。

最終選別後→←「2周目」終了



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萌葱なごみ - 如月さん» ありがとうございます!!!もっと面白く出来るように頑張ります! (2020年5月15日 19時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - まだ5話くらいしか読んでいないんですけどこの時点で面白いです!応援してます!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2020年5月15日 18時) (レス) id: 246a34a862 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - あやめさん» ありがとうございます(*≧∀≦*) (2020年4月20日 16時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください! (2020年4月19日 8時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - さーぇーちゃーんさん» ありがとうございます!!嬉しいです!!! (2020年4月17日 22時) (レス) id: f1dc7efd01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:萌葱なごみ | 作成日時:2020年3月31日 21時

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