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七五三掛side
お腹が空く良い香りで目が覚める。
いつの間に自分家に帰ってきたんだろう、
とぼんやり考えていたら、コトコトと何かを
煮込む音や足音が聞こえて、身体を起こす。
びっくりするほど身体は重くて、
フラフラとする。
なんだろう、と思いながらも頑張って
立ち上がり、寝室の扉を開けた。
七「A…？」
「あ、しめさん。まだ寝てて？
身体しんどいでしょ」
キッチンで鍋をみてたらしいAが振り返った。
幻覚かな、Aが俺の家でご飯作ってる…。
「幻覚じゃないよ。しめさん覚えてない？」
声に出てたらしくて口を押えながら、記憶を辿る。
たしか、映画のオールアップで
サプライズしてもらえて…
「熱があって急いで帰って来たんだよ」
俺の背中を支えながら、ベッドまで連れていかれる。
そっか、車の中がすっごい寒くて、
ずっとフラフラしてたんだ。
七「ごめんね、迷惑かけちゃった」
「謝らないで。昨日ただでさえ夜で寒かったのに、
ずぶ濡れのまま何テイクも撮ってたもんね」
七「機材トラブルあったからね」
「夜湯船に浸かった？東郷さんに言われたでしょ？」
七「疲れちゃってシャワーで済ませちゃった」
「自分で気づかないだけで、身体は冷えて
すっごい疲れてるんだから。雨のシーン
とかの後は疲れてても温めなきゃ。次から
銭湯とか事務所のお風呂に入って
もらわなきゃいけないかもな〜」
七「ええ〜！」
「それがヤならちゃんと、ね？」
ベッドに寝かされ、布団をかけられる。
トントン、と胸のあたりを優しく叩かれると、
だんだんと眠気が襲ってきた。
「おかゆ出来るまでまだ掛かるから、
ちょっと寝てて」
七「ん…ありがとう」
にこ、と笑ったAに、申し訳ない気持ちと、
好きな子がそばにいてくれる幸せに包まれながら
眠りについた。
俺の家にAがいる。
こんなに幸せなんだ、と思いながら、
やっぱりAが大好きなことを改めて感じた。
次の日には熱も微熱程度に下がってたけど、
撮影をお休みした。
俺が映らないシーンで回してもらって、
メンバーやスタッフさん、特に東郷さんからは
心配と謝罪のメールが来てて、体調管理の重要さを
より実感した。
Aに看病してもらったことはメンバーみんな
知ってて、いろいろ聞かれたけど内緒にした。
俺とAだけの特別な思い出。
あの夜のおかゆの味は、ずっと忘れたくないな。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
