Manager Tiger Ⅱ (ページ27)

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「何か飲みません？休憩ですし、
美味しそうなお菓子買ってきたんです」

倉「…ん、ありがと」

腰を上げて、わたしの後ろを
ついてくるまつくさん。

元「A、」

小さく呼ばれ、
ちゃかさんみたいに頷いた元太。

やっぱり松松だな。

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「このお菓子、最近人気らしいですよ」

倉「…可愛いね、猫だ」

猫の形のおまんじゅうと、
温かいお茶を出す。

ここも事務所の一室で、
防音が施してある部屋。

倉「……俺、さ」

ぽつり、と話し出した彼の言葉を、静かに聞く。

倉「ソロデビューしないか、
って、言われて」

聞きながら、同じような葛藤を
強いられた先輩のことを思い出す。

あのときの彼も、こんな苦しそうな
表情をしていた。

倉「でも俺、今大河と映画両立するのだけでも
限界ギリギリなのに、」

彼のときは、メンバーが背中を押していた。

父は、そっと見守るだけだった。

倉「そもそも、俺はトラジャのメンバーなのに。
ソロなんて、メンバーやファンのみんなからしたら……」

わたしも、メンバーの絆に掛けたい。

「……先方への回答はまだまだ先で
いいんです。まつくさんが……海斗くんが、
納得のいく答えが出るまで待ちますから」

倉「…うん……」

「海斗くんは一人じゃないよ。
ソロとして活動しても、ちゃんと
帰ってくる場所はある」

倉「帰ってくる、場所…」

「……悩んでるメンバーが、自分に
その悩みを打ち明けてくれたら、
海斗くんはどう？」

倉「……俺は、…嬉しい」

「うん。嬉しいよね。わたしも今、
こうして話してくれて嬉しい」

倉「……しっかり、考えてみる。
メンバーにも、話したい。
気持ちを、聞いてくる」

「そうだね、それがいい」

倉「あー、ちょっとスッキリした。
おまんじゅういただきまーーす」

「わたしもいただきまーーーす」

すっきりしたような笑顔のまつくさんが、
これからも笑っていられるような日々が
続くよう、みんなを守っていかなくちゃ。

おまんじゅうを頬張りながら、心に誓った。

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