#２−6 Gengen HBD ページ17
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「ねえ元太、本当にいいの？」
元「いいって！俺がお願いしてるんだから」
二人で人気のないレッスン室に入り、
荷物を降ろす。
備え付けのスピーカーとスマホを繋いで、
軽いアップテンポの洋楽を小さく流した。
元「ストレッチしよー」
既に床に座って足を広げた元太に手を
伸ばされ、その手を掴んで思い切り引っ張った。
元「あ“だだだだだだ」
「かたい」
元「容赦なさすぎ！！」
遡ること１週間ほど前。
うみくんの誕生日前日に映画へ行ったことが
元太にバレたらしく、元太が尻尾を振って
駆け寄ってきて、「誕生日の前の前の日
オフだね！！！」と言ってきた。
「そうだね」と返すと、勢いよく元太に
「付き合って！！！」と言われ、
隣にいたのえるくんが水を噴き出して、
閑也くんが持ってたスマホを落とし、
振り練習をしていたちゃかさんがずっこけた。
話の流れから、その日にしたいことがあるから
付き合って、だと理解したわたしが「いいよ」と
答えると、しめさんがクッキーを喉に詰まらせ、
まつくさんが元太に向かって突進してきた。
まあいろいろとあって当日の今日、
元太とわたしは二人でレッスン室に来た。
元「Aのダンス観てからさ、
一緒に踊りたいなあってめっちゃ
思ってたんだ」
元太の背中を押していると、
そんなことを言われる。
「でもわたし、振付なんて出来ないよ」
元「まあまあ！トラジャの曲
踊れるんだからだいじょーぶ！」
一緒にのんびりやろ！と白い歯を見せる
元太に、やってみるか、と息を吐いた。
ストレッチをお互い終わらせて、
テーマにする曲も決まり、お互い
パートを分けて振付を考えることになった。
と言っても、ダンスを習ってたわけでは
ないので、まったくどうしていいかわからず、
結局元太と二人で振りを考えた。
.
何時間が経ったのかわからないくらい
時が過ぎて、明るかった外は暗くなっていた。
元「はあ〜〜〜ッ！」
「もう動けん…」
二人で考えたダンスを動画に撮り、お互い
納得がいくまで撮り直し踊り続けた。
そして何十テイク目かで、やっと完成した。
元「疲れたあああけどめっちゃかっけえよこれ！」
「うん、かなりいい感じ」
エンドレスで動画を流してぼーっと見つめる。
元太のおかげで、トラジャのために覚えるもの
だったダンスが、楽しいからやるものに
変わった気がする。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
