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倉「うああ〜〜〜疲れた…」
「お疲れさまです」
送りの車で、東郷さんが運転してくれて、
わたしは助手席でのんびりさせて
もらっている中、後部座席のまつくさんが
ぐいっとのびをした。
東郷「監督さん褒めてましたよ。
元気があって今回の役とぴったりだって」
倉「マジっすか？え〜嬉しいなあ」
「わたしも鼻が高いですよ。…でも、
撮影は１年以上を見越してるので、
体調面もしっかり気を付けていきましょうね」
スケジュールも無理のないように
調整します。
スケジュール帳を見ながら言うと、
後ろから長めの手がにゅっと
伸びてきて、頭を撫でられる。
倉「Aも、無理しないんだよ」
まるでお兄ちゃんが妹に言うような
声色で、なんだか照れくさくなる。
東郷「その辺は自分がしっかり
みますので、大丈夫ですよ」
東郷さんが言うと、まつくさんが
「あ、うん」とちょっとトーンの
落ちた声で返事して、あれ？と振り向く。
倉「…東郷さんとAって、
付き合ってんの？」
「え“？」
突拍子もないことを言われ、
ちょっとドスの効いた声が出てしまう。
東郷「どこから声出したんですか今」
倉「付き合ってないの？」
「ないです。なんでそう思ったの？」
わたしが聞くと、まつくさんは
手をもぞもぞと弄りながら答える。
倉「…なんか、めっちゃ仲良さそうだし」
「まあ昔からの知り合いだから…
付き合ってないよ」
倉「そっか、よかった…」
あからさまにほっとしたように
微笑まれて、なんて反応したら
いいかわからずに、曖昧に笑う。
東郷「…Aちゃんは昔から鈍感なので、
ストレートに伝えないと気づかないですよ」
「え？」
東郷さんがぽつりとつぶやいたけど、
なんのことか分からずに聞き返す。
倉「…そっすよね」
まつくさんは分かったみたいで、
複雑そうな顔をしていた。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年1月14日 22時
