Manager Tiger5

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「なんでうみくん？」




うみくんの名前が出てくる
意味がわからなくて、聞く。




吉「え、あ、こっちの話！」


「？ しめちゃんに、答えなくて
いいって言われなければそう伝えてたよ。
もしこの先誰かが想いを伝えてくれたと
しても、わたしの気持ちは変わらない。
Travis Japanをいちばんに考えていたいの」




なんだかすっきりしたような気持ち
になるけど、閑也くんはきっと。




「だから、ごめんね…」


吉「……やっぱキツいね、フラれるの」




ちょっとおどけたように明るく言う
閑也くんに、胸が締め付けられる。

わたしがマネージャーじゃなければ、
彼を好きになったのだろうか。

気持ちに応えられたのだろうか。

ハリウッドに行って、気持ちにも
余裕が出来たら………




吉「でも、誰が告っても同じなら
仕方ないよ。いつかAが恋愛
したくなったら、いちばん近くでアピールする」


「え？」


吉「こんな近くにいたじゃん、って。
余裕ができたAがすぐに気づけるように、
いちばん側でAを見守る。だから、
………好きでいさせてね」




諦められなくてごめん。

閑也くんの言葉に、なんだか
視界がぼやけてしまう。

こんなに、想ってくれてたんだ。

告白を断ったわたしでも、まだ好きで
いてくれる人が、いるんだ。

それが嬉しくて。

わたしに泣く権利はないから、
頑張って堪えて上を向く。




「………ありが、とう」




ぐす、と鳴った鼻に閑也くんが
笑う気配がした。




吉「なんでAが泣いてんの？
泣かないでよ、飛んでいきたくなっちゃうじゃん」


「泣いてない、から」


吉「涙声だよ？もう、そんなんされたら、
余計諦めらんないじゃん」


「ごめ、」


吉「諦めるつもりもないからいーけどね。
ちゃんと目冷やして、身体あったかくして
寝るんだよ」




いつもの優しずやに戻った閑也くんに、
ふっと気持ちが軽くなっていく。




「うん。……ありがと」


吉「いーえ。じゃ、また明日ね」


「ん、また明日…おやすみ、閑也くん」


吉「おやすみ、A」




大好きだよ、の言葉に返事はしないで、
聞こえないふりをして電話を切った。

まだ落ち着かない心臓に、閑也くんの声を
思い出してしまいそうで、ぶんぶんと頭を
振って目をぎゅっと瞑った。


好きになってくれて、ありがとう。


今はただ、それしか返す言葉が無くて、
はあ、とひとつ幸せを逃がした。






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