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まな板の上に包丁を置いたのえるくんが、
真摯に見つめてくる。
身長差から見上げる形になって、このとき
やっと彼も大人の男性であることを意識した。
「――の、えるくん」
川「……あは、困らせちゃってごめんね?
Aちゃんにその気がないのは
なんとなくわかってるから」
ちょっぴり悲しさを滲ませる
表情に、ちくりと胸が痛む。
川「――しめに、告白されたんだってね」
「え、なんで」
川「本人が言ってきた。それ聞いたら、
やっぱ我慢できなくて。……おれは、
初めて会ったときから、Aちゃんを見てたよ」
両手をぎゅっと握られて、微かに
震えるその手に、彼の気持ちが伝わってくる。
川「おれだって、Aちゃんが…
おれの方が、絶対に、好きだよ」
悔しそうにつぶやいたのえるくんに、
何を言えばいいかわからない。
「…のえるくん」
川「……でも、俺もしめと同じ。
自分と、Aちゃんのこと考えたら、
そこから先を伝えられない。今はね」
だから、まだ。
一歩歩み寄ったのえるくんが、
わたしの髪にキスをした。
それは、とても優しくて、
川「いつか振り向かせてみせるから、
待っててね」
ぱしっとウインクを綺麗に決めた
のえるくんに、タイミングよく
インターフォンが鳴った。
川「はーい、どうぞ〜」
手を拭いたのえるくんが、わたしの頭を
優しく撫でて、インターフォンに出る。
続けてドアが開く音が響いて、
がやがやと騒がしさが近づいてくる。
ドクドクと落ち着かない心臓は、
6人に気付かれないようにしないと
いけないのに、まだおさまってくれそうにない。
中「まじでこいつ、中身コーラだって
言ってんのに振ってから開けるから」
七「ぜんぜん聞こえてなかったんだもん〜」
宮「まあ外だったからまだ良かったよね」
吉「ほんっとこいつら!!すぐいらないもの
入れるし!!松倉は迷子になるし!!
のえるとAにも来てもらえば良かった!!」
元「いらないもんじゃないじゃん!
みんな駄菓子とか久々に食べたいかなって
思ったんだし!」
倉「ちびっこの塗り絵コーナー見て
感心してたら二人とももういなかった」
なにやら大変だったらしいみんなに笑いながら、
買ってきてもらったものを処理する。
元「ふたりで何してたの?」
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エキゾチック幸助(プロフ) - なちょさん» コメントありがとうございます!リアルに書けているのなら良かったです☺️今後も頑張りますのでどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします! (2021年11月26日 17時) (レス) id: c19b7f2284 (このIDを非表示/違反報告)
エキゾチック幸助(プロフ) - 香さん» って香さんですね!?わーー!!自分の作品にコメントくださるなんて!嬉しいです!めちゃくちゃ推してる作者さんに褒められるなんて嬉しすぎます……!!重ねてありがとうございます!! (2021年11月26日 17時) (レス) id: c19b7f2284 (このIDを非表示/違反報告)
なちょ(プロフ) - 最新までのお話読ませていただきました!とてもリアルで、私が実際に体験しているかのようで読んでいて楽しいです!次の更新が待ち切れません💓 (2021年11月26日 17時) (レス) @page39 id: d49be0b766 (このIDを非表示/違反報告)
エキゾチック幸助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます!大変励みになります……口調は似せようと意識してたのでめちゃくちゃ嬉しいです!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2021年11月24日 22時) (レス) id: c19b7f2284 (このIDを非表示/違反報告)
Cancake(プロフ) - エキゾチック幸助さん» はい!よかったです。これからも楽しみに読ませていただきます! (2021年11月24日 21時) (レス) id: 54f2916675 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エキゾチック幸助 | 作成日時:2021年11月8日 19時