・ ページ22
.
「なに見てるんですか。熱何度でした?」
元「ん、と…はちどななぶ」
「高いですね…とりあえず一口でもいいので食べてください。
りんごだけでもいいです」
テーブルにトレイを置き、袋からミネラルウォーターを出して
持参したマグカップに注ぐ。
テーブルの上にはお母さまが用意したと
思われる風邪薬やのど飴、書置きがあった。
『マネージャーさんへ
ご迷惑おかけして申し訳ありません。
冷蔵庫に元太の好きなゼリーなどありますので、
食べれそうなら出してやってください。
マネージャーさんも食べてくださいね。
何かありましたらご連絡ください』
綺麗な字の書置きから、母親の愛情がにじみ出ていて、
すこしだけ羨ましくなった。
「ゼリーあるそうですけど、食べますか?」
元「んー……おかゆたべる」
むくり、と起き上がった元太くんだったけど、
なんだかふわふわしていて、危なっかしい。
介助が必要そう。
「とりあえずお水飲みますか」
元「ん、あんがと」
飲みやすいように取っ手付きのマグカップにして
よかったと思う。
こくん、と飲んでカップを渡してきたので受け取り、
おかゆをレンゲですくう。
ふーふーと冷ましてから元太くんの口元に持って行く。
「はい」
元「え、食べさせてくれr」
「はい」
元「へへ、ありがとー」
自分でもふーふーと冷まして一口。
もぐもぐと咀嚼する様子に、
弟がいたらこんな感じなのかな、と笑みがこぼれる。
元「んま…Aちゃん天才だね」
「ありがとうございます。まだ食べれそうですか?」
元「うん。あ、」
口を開けて次を促してくるのを見て、おかゆをまたすくう。
雛にエサをあげているみたいだと思いながら、
何度かそれを繰り返す。
元「りんごたべたい」
おかゆはもういらないみたいで、半分ほど残った土鍋に蓋をして
りんごのすりおろしをスプーンに載せる。
.
601人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エキゾチック幸助 | 作成日時:2021年8月27日 16時