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中村の威圧感と敵意が籠ったような強い眼差しに、瀬戸は固まった。
「あ、の……自分は……」
中「関係ないとか思ってないでしょ。何さっき出ていこうとしたの。意味わかんねえんだけど」
「………」
元「黙ってないで何か言ったら?俺閑也が相談してくれなかったことと同じくらい瀬戸ちゃんにもキレてるんだけど」
先ほどから明らかな怒りを浮かべて吉澤を見ていた松田が、同じように瀬戸を見つめる。
元「聞いてたんでしょ?閑也からその話。辞めたいって聞いてて今ここで話し合いさせようとしてんでしょ?聞いたときにすぐ俺らに言えばいいじゃん。いつ聞いたか知らないけど、ずっと普通だったよね瀬戸ちゃん。よく平気な顔していられたよね。マジでキショいんだけど」
七「元太言い過ぎだよ」
元「言い過ぎって何?メンバーが辞めるとか言い出したのに何でそんなこと気にしてられんだよ!」
倉「てかなんでそんなとこ座ってんの。空いてるんだからこっち座りなよ」
メンバー一同から少し離れた所に座った瀬戸に、その意図はわからずとも松倉が追い打ちをかけるような言葉を投げかける。
またしても凍り付いた瀬戸の様子に、松倉が無言で立ち上がってその手を引き、自分と七五三掛の間に座らせた。
当の瀬戸は真っ青な顔をしており、明らかに怯えている様子だった。
宮「…で、閑也はなんでそんなこと言い出したの」
黙って様子を見ていた宮近が改めて吉澤に問い掛ける。
その言葉で一同は瀬戸から吉澤に視線を移した。
吉「…、俺、ここまでみんなと頑張ってきたけど、やっぱりどんなに頑張っても俺だけがみんなの足を引っ張ってるようにしか思えなくて、もうしんどいんだよね」
苦し気に言葉を紡ぐ吉澤に、途中で口を開きかけた松田を川島が止めた。
言葉が途切れると、次いで川島がぽつりぽつりと話し出す。
川「俺は……閑也が足引っ張ってるって思ったこと一度も無いし、周りからも言われたことなんてないよ」
吉「……ありがとう」
川「………閑也」
川島の言葉を聞いても苦し気な表情は変わらず、同じように川島も顔を歪める。
七「俺やだよ、しずが辞めるの」
少しの沈黙のあと、七五三掛も口を開く。
七「しずの振りでまだまだ踊りたいし、この7人でハリウッドで踊りたい」
七五三掛の“ハリウッド”という言葉に、吉澤は俯いていた顔を上げて七五三掛を見た。
七「しずもそうでしょ?一緒に、行こうよ」
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作者名:エキゾチック幸助 | 作成日時:2021年8月27日 16時