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「あの……ありがとう。ごめんね…」
宮「ありがとうだけ貰っとくわ」
あの後、怯んだ川上が去っていき、
とりあえずわたしの家に来てもらった。
宮「元カレなんだ」
「うん…マネージャーを目指すって
決めてから別れたんだけど」
宮「どれくらい付き合ってたの？」
「んー……3年くらいかな」
宮「あー、前言ってたね」
出したコーヒーを一口飲むちゃかさんの
感情が読み取れなくて、居心地が悪い。
宮「…あいつ、また来るんじゃない？」
「どうかな…」
宮「納得してなかったっていうか、
信じてなかったじゃん」
確かに、諦めの早い人ではなかった。
そう思うと、これからがかなり憂鬱だ。
「来るかなあ……」
宮「………、まあ、あいつの中では
俺が恋人にはなってるから、
しばらく帰り送るよ」
「え？いや、悪いよ」
宮「いやいや、何かあったら今度こそ俺らも
立ち直れなくなるから。あいつが諦めるまで、
俺が仮の恋人ってことで」
真剣なのか冗談なのかわからないけど、
とりあえず頷いておく。
「わ、かった」
宮「よろしい。じゃあ恋人さん、俺帰るわ」
「あ、うん。ほんとありがとうね」
立ち上がったちゃかさんに、
わたしも一緒に立って見送る。
宮「何かあったらすぐに連絡して」
「うん、ありがとう」
宮「知らない番号からの電話は出ない事」
「う、うん」
宮「それと、ピンポン鳴ってもすぐ
ドア開けないで、誰か見てから対応して」
「わ、わかったって」
宮「一応カーテンとかも閉めときなね。
あ、あと」
「大丈夫だって！！ありがとね！！」
玄関口であれこれと出てくる注意事項に
笑いながら、ちゃかさんを押し出した。
宮「じゃ、また連絡する」
「はーい、気を付けてね」
宮「…」
何か考えてるようなちゃかさんに
見つめられた後、その手がわたしの頭に置かれた。
「？？」
宮「いや、恋人っぽい事して
みちゃおうかなー…なんて」
「〜〜！！いってらっしゃいませ！！」
恥ずかしくなり慌てて背中を押して、
笑って手を振るちゃかさんに小さく
振り返して、ドアを閉めた。
……でも、ちゃかさんのおかげで、
不安だった気持ちが嘘みたいに晴れた。
さすが、わたしたちのリーダーだ。
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作者名：エキゾチック幸助 | 作成日時：2022年10月31日 16時
