注射器十五本 ページ21
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『ただいま...』
何時も通り。
変わった様子はない。
そんな寂しい空間にオートロックの無機質なカチッという音が響いた。
病院からものの2日で退院できたのだが、松田さんによると俺は3日も寝込んでいたらしい。
クリニックの方には萩原さんたちが連絡を入れてくれていたらしく心配することはなかったのだが、俺の家に一人でいる彼のことが心配でならなかった。
『もうさすがにでてっちゃったかな』
「誰がだ?」
『!?』
真っ暗な玄関に階段の側から存在自体が影みたいに真っ黒な人物が姿を見せた。
『ジン...悪かった何にも連絡入れな...』
「どこいってたんだよ」
普段から怖い顔してるのに更に怖い顔して言うもんだから冷や汗が滴る。
『いや、ちょっと入院してな』
「!誰にやられたんだ」
『いややられるというか、自分から巻き込まれたというか...』
でも今は大丈夫。
そういえば柄にもなく安心した様子のジン。
「あほか」
そう一言つぶやいて、リビングに戻っていった。
「お前も早く上がれ」
『早く上がれってここ俺ん家なんですけど』
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どこも変わらないリビングルーム。
ただ机上に置かれた湯気を立てるコーヒーだけ見なれなかった。
『ジン、コーヒーは入れれるんだな』
「馬鹿にしてんのか?」
そう煽ったあと、ジンが入れてくれたコーヒーを一口飲む。
『これお前が買ったのか?コーヒー豆』
「ああ」
普段アイスコーヒーしか飲まない俺はボトルのものを買っている。
『これいいやつだろ?いくらした?』
俺が財布を取り出そうするのを、ジンの手が邪魔した。
「たいした額じゃねえ」
『じゃあお前が持って帰れよ』
「誰が開封済みのコーヒー豆片手に帰るかよ。そんなにケチな男じゃねえ」
『そうか。』
少しずつ家に帰ってきたという実感が湧いてくる。
「それでこいつは何もんだ?」
ジンが机に置いた古びたアルバム。
彼の長い指で摘まれたその写真に、目を見開いた。
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びょうさん文字化けの報告ありがとうございました!応援のメッセージも嬉しい限りです!
ゆんさん!コメントありがとうございました。今後とも宜しくお願いします!
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Указать - カロナール24錠のところ、文字化けが発生しております。後、いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2019年8月12日 1時) (レス) id: 3506ccb36c (このIDを非表示/違反報告)
松の葉(プロフ) - 腐るのであれば、BLのフラグをたてた方が良いのでは……?勘違いであれば申し訳ないです (2019年8月10日 9時) (レス) id: 0752d2fe1f (このIDを非表示/違反報告)
びょう(プロフ) - 15本目の何時も通り〜〜の所の字が化けちゃってますよ。ps.更新ありがとうございます。作者様を応援しております。 (2019年8月3日 21時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - とても面白いです!! (2019年7月30日 17時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ビルト・イン・スタビライザー(笑) | 作成日時:2019年7月6日 18時