注射器七本 ページ11
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『…』
「…」
沈黙の中で、カチャカチャと俺が医療器具を持つ音だけがそう広くはない診察室に響いた。
突然の急患に、俺は脱ぎかけていた白衣を着直した。
しかし、入り口から入ってきた患者の男が倒れそうになったのを支えたことにより、それは真っ赤になってしまった。
「…」
静寂と言うのは時に恐ろしいものとなる。奇抜な男と向かいあい、手当てをするのは正直気まずいし、妙な緊迫感が漂っていて、息をするのさえいつもより苦しい。
『ところで、お名前はなんとおっしゃるんですか？』
「…」
目の前の真っ黒極まりない男にそう問いかければ、何も返事が返ってこない。
『あ、いや…別に患者さん深傷ですし無理にしゃべれとはい』
「…ジン。俺の名前はジンだ。」
『ジンさん…？ですか。』
ありがとうございます。俺はちらりとその男を盗み見てそういった。
「…お前は何も思わないのか？」
『え、何をですか？』
喉がひゅっと音を立てた。
なんとなくヤバいことしてるってことは分かるけどきっとそれを答えたらバットエンドだろう。
『特には…ただ、髪の毛、銀色なんですね。珍しい』
「…」
『人にはまぁ、ひとつかふたつ秘密ぐらいあるでしょうし』
ここはあくまでも地雷を踏み抜いてはいけない。話を平行線に持っていく必要がある。
「お前、酒は飲むのか？」
『はぁ？』
「酒、何が好きだ？」
ｶﾗﾝｯ
予期せぬ話題に仰天し、手からガーゼを切断するための医療バサミを落としてしまった。
少し顔をしかめた銀髪の男に、やってしまったと後悔する。
『し、失礼しました…』
俺は何か、選択を間違えたんだろうか？
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Указать - カロナール24錠のところ、文字化けが発生しております。後、いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2019年8月12日 1時) (
レス) id: 3506ccb36c (このIDを非表示/違反報告)
松の葉(プロフ) - 腐るのであれば、BLのフラグをたてた方が良いのでは……？勘違いであれば申し訳ないです (2019年8月10日 9時) (レス) id: 0752d2fe1f (このIDを非表示/違反報告)
びょう(プロフ) - 15本目の何時も通り〜〜の所の字が化けちゃってますよ。ps.更新ありがとうございます。作者様を応援しております。 (2019年8月3日 21時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - とても面白いです！！ (2019年7月30日 17時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ビルト・イン・スタビライザー(笑) | 作成日時：2019年7月6日 18時
