二合酒 (ページ9)

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とりあえず、早歩きで家に向かう。

…が。

濱田「ちょっと待って！」

後ろから大きな声で引き止められる。

その声で、足も止まる。

少し駆け足で近づいて来るので、ゆっくり振り返る。

濱田「よかった。間に合った。」

私を見てニコニコしている。

濱田「ヤバイ。酔っとるから、ちょっとの距離で息が上がるわ(笑)」

A「…。」

濱田「家どっちですか？」

A「…。あ、あの…お連れの方、お一人にして大丈夫ですか？家、ほんと、すぐ近くなんで…その…。」

濱田「あ、迷惑…でしたよね。いきなり。」

A「いやいや！あの…そ、そう言うわけではなくて。ほ、ほんとに申し訳なくて…」

濱田「だったら大丈夫です。少し飲みすぎて。酔いも覚ましたかったんで。僕、あんまり強くないっすよ。だから。大丈夫です。」

A「…。で、でも。」

濱田「ﾊﾊｯ(笑)ほんま！大丈夫ですから。ほら、行きましょう。冷えますよ。こっちですか？」

A「…は、はい。」

先に歩き出す背中を追いかける。

少し進んで、振り返って待っていてくれる。

ニコニコ笑顔で。

そこから並んで2人で歩き出す。

しばらく、無言が続く。

そんなに、遠くない距離。

わざわざ話を振らなくても良い距離だし、話を振ったところで、話終わる前に家に着いてしまう。

濱田「ポテサラ、美味しかったですか？」

急に話しかけられて、反応に遅れる。

A「…あ、はい。とっても。スーパーのお惣菜とか自分で作ったものより遥かに美味しく頂きました。居酒屋のポテサラって凄いですよね。黒胡椒がいい感じで効いてるんですよ。同じポテサラなのにお酒が進んじゃいますし。」

濱田「へぇ～。なんか、そんなん言われたら僕も食べたくなってきました。」

A「是非！オススメですよ。」

案内をしながら自宅へ。
すぐ近くだから、ポテサラの話をしてるうちにあっという間に到着。

A「あ、もうこの辺で。」

濱田「ご自宅まで、お送りしますよ。」

自分の自宅を明かすのは気が引けるのだが…。

自宅言うまでこの人は帰らないんだろうな…。

A「あ、あの。本当に。ココなんです。このボロアパート…。」

濱田「マジっすか！ココ昔、学生時代に僕も住んでたんですよ！」

…マジかよ…。