二合酒 (ページ36)

今日:24 hit、昨日:31 hit、合計:12,200 hit

【イタリアンバル　カプリチョーザ】ページ36

～濱田side～

その後、トイレに行った時、待ちに待ったAさんからの電話に気づいた。すぐに掛け直したが繋がらず、携帯を気にしながら3人で飲んでると着信がやっとあった。

ゆっくり話したいが、2人を待たせているので長く話すわけにはいかない。

久しぶりに彼女の声を聞いて安心した。

と言うよりも、自分と話をしてくれる事に安心したのかもしれない。

結局、ドライブの件も返事を聞けないまま。強制的に電話をこちらから切らなければならない状況に、我ながら呆れる。

あの時、嘘をつかずにすぐに帰っていれば…。

そのまま、彼女の自宅へ行けば…。

戻らない“たられば”を自分の中で繰り返して1人落ち込む。

翌日。土曜日。

土曜日は隔週で休み。今日は休みだから家の事をこなして夕方に備える。

照史と待ち合わせて、新年会の会場へと向かった。

【イタリアンバルカプリチョーザ】

18時開始なので、時間調整をして5分前にお店に行く。

照史と2人で入口を入って右手奥にある扉を開ける。

渚師長「あ、お疲れ様です！」

桐山「お疲れ様です。」

濱田「お疲れ様です。」

渚師長「こちらへどうぞ！」

そのまま、淳太先生のいる席に案内される。

テーブルは３つに分かれていて、淳太先生や他の先生、業者やMRが座る男だらけの席。その隣がベテラン看護師。さらにその奥が若い看護師と事務員の席になっていた。

Aさんは一番離れた席で他の事務員と話し込んでいる。

そういえば、彼女の私服は初めてかもしれない。黒のニットのロングワンピース。髪も下ろして、ゆるく巻かれたパーマの間からゴールドのピアスが揺れている。

桐山「お疲れ様です。本日はお招き頂きありがとうございます。」

濱田「お疲れ様です。ありがとうございます。」

中間「いえいえ。どうぞお掛けください。」

淳太先生もお父さんがいるから少し気を遣っている。中間院長の乾杯の挨拶の後、コース料理が次々と運ばれる。

クリニックの新年会は大人数じゃないし、そんなに形式ばったものでもない。男だらけのこの席でも中間親子の気さくな性格でみんなすぐリラックスして、わちゃわちゃとお酒と料理を楽しんでいる。凄くいい雰囲気だと思う。