謎の意地 (5/6) ページ10
トイレから出たら、
マグカップ持ってふーふーしてる
Aちゃんの横顔が見えた。
北斗となんか喋ってる。
テレビ見て『キャー！』ってちっちゃい顔を
ちっちゃい手で覆って。
恋愛ドラマ見てんのか。
なんか最近流行ってる、やつ。
「Aちゃんもこういうの、されたい？
うしろからぎゅー、みたいな」
しれっとAちゃんの横に座る。
あぐらかいててもかわいいな。
ちょっと揺れるたびに、髪からいい匂いがする。
「すきなひとなら」
ちょっと照れ臭そうに下向いてそう言った。
かわいい、かわいすぎる。
「かわいー」
無意識に言ってしまっていた。
一瞬だけ、Aちゃんの目が揺れた。
ふふって楽しそうに笑うのがほんとに、愛おしい。
俺だけのものにしたい。
「すきなひと、いんの？」
「…」
え、うそ。
俺ってそもそもチャンスない？？
「大丈夫だよ」って言ってほしくて北斗の方見たけど、北斗はビール片手にサキイカ食いながら恋愛ドラマをつまんなそうに見てる。
「います、けど」
「えっ？いるの！？？誰？？」
いやわかってる、困らせてるし
こんなこと聞くの最低なのはわかってる。
そいつを知りたい。
俺、場合によっちゃあ勝てるよ？
ひとりで興奮してたら後頭部に何か当たった。
振り返ったら、北斗がビールの缶を持って
俺のこと呆れた目で笑って見てた。
「お前、デリカシーなさすぎ」
「あ…ごめん…まじごめん！」
って両手を合わせて言ったら
「もうこの話終わり！！田中さんは？」
って返ってきた。
なんか変な意地張っちゃって
「俺？…う〜ん、いると思う？いないと思う？」
「めんどくせえなお前」
おい邪魔すんなよ。
グーにした手で肩を殴ってやった。
これは恋の駆け引きってやつだよ、たぶん。
たぶんだけど。
「知ってます、いますよね、田中さん」
訝しげな目が俺を射る。
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つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです（ ; ; ）こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (
レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2020年5月5日 0時
