腕ごと ページ30
「何聴いてたの」
そう聴けば、不思議そうな顔をして首を傾げる。
「樹くんの声、です。」
「え？」
「電話してたじゃないですか、ずっと」
「ああ…そっか」
コンビニに入って気付く。
髪がさらさらなのはもちろんだけど、
なんか赤ちゃんみたい、顔が。
女の子ってこんなにかわいかったっけ？
「もしかして…すっぴん？」
「あっ、そうです、そうでした…」
だんだん小さくなっていく語尾。
かわいいよ！！って伝えたかっただけなのに。
「俺、女の子のすっぴん大好き！」
ちょっとはしゃいで言っちゃったあとに、
Aちゃんのちょっと不機嫌そうな顔。
「あ…そういうことじゃなくて」
「どういうことですか」
「もっとちゃんと見せてよ」
頬にそっと手を添えたとき、
店員の「いらっしゃいませー」って声で我に帰った。
Aちゃんは少し気まずそうにアイスコーナーをじーっと眺め始めた。
ちょっと経ったくらいに、着てたブルゾンの裾を
ちょんちょんって引っ張られた。
心地いい、引力。
「樹くん、わたしこれにします」
Aちゃんが選んだのはジャイアントコーン。
俺が選んだのはガリガリ君。
俺とAちゃん、カップルに見えてんのかな。
ぼーってAちゃんの後ろ姿を見てたら、突然Aちゃんが言った。
「そういえば樹くんちってここから近いんですか？」
「ん？まあね、…くる？」
お互い、おこちゃまじゃない。
Aちゃんがうなずいたら、それが合図。
コンビニを出て、さっき1人で来た道を2人で帰る。
アイスの入った袋がたてるガサガサっていう音が、俺の心をかき立てた。
「早くアイス食べたい」
「悪い子だなー、食べる？」
「うん」
レジ袋から出して渡したら、すぐに開けて食べはじめた。
一見大人しそうなのに、食べるときはすんごいおいしそうな顔で食べんの。
「おいしい？俺にもちょうだい」
「えー、ちょっとだけですよ」
渋るから、Aちゃんのアイス持つ腕をつかんで
無理やり食べてやった。
「ああっ、あーもう、」
マジで不機嫌そうじゃん、ふふ。
「おいしいーー」
「樹くんのいじわる」
「そんな顔してもね、かわいいだけだよ」
「かわいいかわいいって」
「ん？」
明らかに声のトーンがちょっと下がったのがわかった。
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つき(プロフ) - sailさん» 素敵なコメントまでくださって、とてもうれしいです（ ; ; ）こちらこそ、ありがとうございました。今日はいい夢が見られそうです。 (2020年12月10日 12時) (
レス) id: 7ed4157c8a (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - とってもとっても素敵な作品すぎてコメントさせていただきました。ふたりのもどかしい距離にキュンキュンしました！素敵なお話をありがとうございました。 (2020年11月9日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つき
| 作成日時：2020年5月5日 0時
