Fischer's- (短編集)

【リ】誓います。 -モトキ- ページ36

今日は高校最後の体育祭。


しかし、
私だけは一人溜息を溢していた。



結衣『はぁ〜…』


モ「また、大きい溜息だなwww」


結衣『だって…走るの苦手なんだもん。』



彼とは同じクラスで
席が隣になったのをきっかけに仲良くなった。


優しく面白い彼を
私は知らぬ間に好きになっていた。




モ「高校最後の体育祭、お互い頑張ろうな！」




そして体育祭は始まった。


彼の頑張ってる姿に
ドキドキヒヤヒヤしながらも、
精一杯応援した。


体育祭も終盤に差し掛かった時、
アナウンスが流れた。


次は、3年男子借り物競走。



この学校では、
無理難題のネタがたくさん仕込まれている。


毎年大盛り上がりする、
体育祭のメインイベントだ。



そしてスタートと同時に叫び顔が上がる。




男1「ホルマリン漬けってwwww」


男2「おかあさぁーんwww」


男3「カツラ！？ww無理だろ、おいwww」




そしてモトキの番。


スタートの合図で走り出し、カードを手に取った。


しかし、


カードを捲ったモトキが何故か動かない。



( ……どうしたんだろ。 )



私が首を傾げると、
モトキは何かを探し始めた。



そして、
私と目が合うと急いで此方に駆け寄り
私の手を引いた。



結衣『ちょ、え！？』


モ「ごめんッ、ゴールしたら話すッ！！」



そして私達は手を繋いだまま
ゴールテープを切った。



結衣『モトッ…突然っ…何ッ…』



私は息を切らし大きく肩を揺らしながら
モトキに問い掛けた。


するとモトキはカードを私に手渡した。


私はそのカードを見て唖然とした。




〈 結婚したい人 〉




結衣『これ…


モ「はぁ…本当はこんな形で告白したく無かったんだけど、このカードは狡いよねww」



そう笑みを浮かべる彼に
私は状況が掴めず困惑していると、



モ「順番が逆になっちゃったけど、俺と…結婚を前提に付き合って下さい。」


結衣『えッ…ほ、本当に？』


モ「この状況で冗談で言ってたら、ヤバくない？ww」



周りには他の生徒達が群がり集まっていた。



男5「ひゅーひゅー！！」



男6「キースッ！！キースッ！！」



女1「うわー、羨ましいッ！！」




私は恥ずかしくなり思わず俯いた。


すると
モトキは私の側まで歩み寄り、
私の足元にひざまずいた。


そして私に優しく微笑みながら言った、



モ「結衣を幸せにする事を、誓います。」



私は涙を溢しながら頷いた。



結衣『……私も、誓います。』

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