Fischer's- (短編集)

【リ】こっち見るの禁止。 ♯2-マサイ- ページ32

結衣は俺の部屋に来るなり
アップされた動画に対して激しく怒り出した。



結衣『なんで私がいない事になってるの！？なんで私だけ全カット！？』



怒るのも無理はない。

これを編集したのが俺だという事は、
多分シルクから聞いたのだろう。


俺は結衣の声を背に、
液晶画面を見つめていた。



マ「あんな姿見せて、リスナー増やしたい訳？ww」



俺は咄嗟に口を押さえた。

こんなの八つ当たりだ。



すると、
背後から小さくすすり泣く声が聞こえた。


俺が振り返ると、



結衣『そ、…んな…言い方ッ…』




結衣は部屋から出ようと駆け出した。




俺は慌てて腕を捕まえ俺の腕の中に閉じ込めた。



マ「ごめんッ…違うッ！こんな事言いたかったんじゃねぇんだよ！」



結衣『やだッ…もう知らないッ！！』


俺は暴れる結衣を背後から抱き締めながら、
話を進めた。



嫉妬した事。


誰にも見せたくなかった事。


八つ当たりをした事。


素直になれなくて、冷たく当たっていた事。


君を傷付けた事。




マ「俺は……結衣が好きなんだ。」



結衣『…ぇ、？』



マ「だからっ…好きつってんだよッ！！……あんな姿、誰にも見せたく無かった…」



結衣『本当、に？』



マ「じゃなきゃ、あんな面倒くせぇ編集やらねぇよッ！！ww」



結衣『私ッ…』




結衣は咄嗟にこちらを向こうとしたが、
俺は強く抱き締め肩口に顔を埋め隠し
それを阻止した。




マ「駄目、こっち見るの禁止。」




今の俺は、
多分赤くて情けない顔をしている。



もう少し…
もう少しだけこのままで居させて。

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