Fischer's- (短編集)

ごめんね？ ♯2-モトキ- ページ5

明日は結衣とデート。
俺は柄になく少し浮かれてる様だ。



シ「……おい、モトキ。さっきからニヤニヤしてんじゃねーよ！」


モ「あぁ…ごめん、ごめん。」


○「あれだー。彼女さんの事、考えてたんだよね？」


モ「どうかなー？」




なんて誤魔化しつつも、頬の緩みは止まらない。


数十分前に撮った動画を編集しているシルクと、
その隣に居るのはシルクのいとこちゃん。


い「そういえば、最近新しくアクセサリーショップが出来たんだってー…ねぇ、シr


シ「行かねーよ？」


い「ケチ！！」


(アクセサリーかぁ)


モ「ねぇ、あのさ？」



そして俺は、
シルクのいとこちゃんを連れて
新しく出来たと聞いたアクセサリーショップへ足を運んだ。



い「うん、良いと思う。」



いとこちゃんの力も借りて、
結衣へのプレゼントは決まった。


店から出て帰ろうとした時、
ふと走り去る小さな後ろ姿が見えた。

何処と無く、結衣に似ている気もしたが
まさか、とその時は気に留まる事もなかった。


いとこちゃんをシルク宅へ送り届け、
プレゼント片手に気持ちは舞い上がり、
歩みは自然と彼女の元へ…



モ「明日会えるけど、今日渡しちゃお。」


携帯片手結衣に電話を掛けた、

プルルルル…プルルルル…プルルルル…
プルルルル…プルルルル…プルルルル…


違和感を感じた。
何時もなら3コール程で大体出るはずなのに…

何故か急がなくてはいけないと
心のどこかで感じ取った


6回目のコールで、
繋がった。


しかし、
その声は弱々しく、鼻声だった。




結衣『…………もしもし』



モ「あ、(結衣)？…俺、だけど…どうした？」



結衣『あの、さ…今日



直ぐに状況が把握出来た。
自分の所為だと確信した。

あの時の後ろ姿は…



(結衣だったんだ……)



考えてみれば分かる事だった。

俺が女の子と2人で一緒に歩いていたら…



(そんなの誤解させるに決まってるじゃんかよ！！)




モ「あ！もう着くから切るね？」



結衣は何か話していたけど、
そんな事は御構い無しに俺は電話を切って、
インターフォンを押し彼女を待った。


待ってる間も、
もどかしくて足をジタバタさせていた。


彼女の姿が見えた時、

泣かせてしまったと後悔した。
そして、二度と同じ過ちはしないと決意した。


モ「………ごめんね？」


(俺の事を、ここまで掻き乱す子は他に居ないよ。)

(大丈夫、結衣だけしか見えてないから。)

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