邂逅・一 ページ26
「停戦協定を結ぶことに吝かではないけれど、依頼とあっては仕方がない」
停戦に依頼−−こいつ−−『武装探偵社』か！
思い出した。僕はこいつを見たことがある。資料の中でだけれど−−この男を敵に回すな、と云われていた。そこに書かれた名は……
「私の名は太宰治。探偵社員だ」
「下がってください」黒服が僕を庇う。「相手は所詮、零細の探偵屋じゃありませんか、」
「そう。私はただの探偵だ。−−だけれどね」
こいつはさっき、何と云った？『依頼』と……それは、
「君の母上から、君を連れ戻すよう云われているのだよ」
「母……から……」
「私は警察ではないから、君を引きずって連れて行く訳にはいかないし、ましてやカウンセラーでもないから、君の心の闇を取り除いてやることもできない」
彼は滔々と語り続けた。冷利な瞳だけで、皆を圧倒しながら。「……でもね」
「君の居場所はここではない。君は輝いているべき人間なのだよ」
「黙れ！！」
僕は気づけば刀を抜いていた。輝いている『べき』？お前に何が判る。光の下で、僕がどんな扱いをされていたか知らないくせに。
気炎を上げる僕とは対称的に、彼は静かだった。相手が武器を取ったのに、まるで気にしていない。だから僕は思った。−−異能を使う以外にないと。
「異能力−−『水妖記』」
僕は歌う。優しく静かな旋律−−子守唄だ。周りの人間は眠気に負け、ばたばたと倒れていく。ある程度なら自由に扱えるようになったのだ。彼の体が沈む。
しかし。
「全く、末恐ろしい異能だね」
彼は僕の腕を掴んだ。間合いを詰めていた僕は、あっさりと捕まる。「えっ−−」
「私の異能は、触れた者の異能を無効果する」零距離で視線が交錯、彼は笑う。「君が銃を使っていたら、私も眠らされていただろうけれどね。……おや」
僕は小手を返し、喉元に刀を突き付ける。精一杯の意趣返しだ。このまま−−このまま……
言葉が出なかった。視界が歪み手が震える。駄目だ、この程度で、こんな……僕はマフィアだ。×しくらいで怯えていてはいけない。
「やり給えよ。やれるものなら」
「……！」
怖い。この人はとても怖い。本能がそう告げて−−僕は必死に助けを求めていた。
「中也、さん……！」
その直後だった。見覚えのある黒の帽子が、僕の前に踊り出たのは。
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こんぺいとうくん(プロフ) - コミュ障の極みさん» ありがとうございます〜！！頑張ります！DA、中也さん格好良過ぎでした… (2018年3月16日 21時) (
レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障の極み - デッドアップル観れなかったァァ！あと面白いです！更新ファイトです！ (2018年3月15日 18時) (レス) id: 0c405ae39e (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとうくん(プロフ) - 真昼さん» あ、あ、ありがとうございます…！（コミュ障）すごい嬉しいです…頑張ります！！ (2018年3月10日 15時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - すごい面白いです、頑張ってください！ (2018年3月9日 23時) (レス) id: 85666cc382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとうくん | 作成日時：2018年1月29日 17時
