検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:71,970 hit

新たな職・二 ページ15

「……無理、ですよ」

絞り出した声は震えていた。あまりに唐突で、自分の生を変えてしまうであろう提案。
それが嘘やジョークの類いでないことはすぐに判った。何より、中也さんは嘘を吐くような人ではないのだ。

何度かマフィアの役を演じたことはある。けれど、それだけだ。非合法の活動に携わったことがなければ、本物の銃など撃ったこともない。

−−そんな僕を、何故。

「『異能力』だ」

『異能力』−−。
聞いたことはある。でも、そんなものはフィクションの中の世界ではないか。

「異能力は実在する」中也さんは断言する。「俺にも、その力が宿っている。−−お前にもな」

呆然とする僕に、中也さんは軽く触れ−−その動きは俊敏で、近づく気配すら僕には判らない−−そして次の瞬間。
「ひっ……!?」僕は情けない悲鳴を上げていた。

空中に浮いていたからだ。

「これが俺の異能だ−−『汚れつちまつた悲しみに』」

マジックの類いでは、明らかになかった。赤黒い光に包まれ、彼が指を上げ下げするだけで、僕は風に弄ばれる木の葉のように右往左往する。
……これでは、異能の存在を信じるしかない。

「判……りました」では僕の異能は何だというのだろう。
「まだ気づいてねえってのか。お前の異能は、」

そこで中也さんは一度言葉を切った。一瞬だけ訪れた静寂はとても詩的だった。

「−−その歌だ」

新たな職・三→←新たな職・一



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
131人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こんぺいとうくん(プロフ) - コミュ障の極みさん» ありがとうございます〜!!頑張ります!DA、中也さん格好良過ぎでした… (2018年3月16日 21時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障の極み - デッドアップル観れなかったァァ!あと面白いです!更新ファイトです! (2018年3月15日 18時) (レス) id: 0c405ae39e (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとうくん(プロフ) - 真昼さん» あ、あ、ありがとうございます…!(コミュ障)すごい嬉しいです…頑張ります!! (2018年3月10日 15時) (レス) id: 89d22ed41a (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - すごい面白いです、頑張ってください! (2018年3月9日 23時) (レス) id: 85666cc382 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こんぺいとうくん | 作成日時:2018年1月29日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。