【募集企画】 君影荘日誌 〜小説〜

第17話...竜胆 ページ18

「此処が俺の部屋で、……あー、此処が食堂か。」


短く切られた黒髪を僅かに揺らし、君影荘をふらりと散策する一人の少年。

───"竜胆 惣太郎"。とある高校の野球部員である。


志望する大学が近いこともあり、親の許可もさっさと取ってしまい、勢いで此処に入居することにした。

高校とは距離があるものの……、運動になるから良い、という理由で押し切った。
野球部員は体力づくりが肝心なのだ。

…多分。


「にしても、デカい作りだよなあ……。……ん？」


視界にふと入ったのはノートとペン。不自然にも、廊下に落ちている。
誰かが落としたのだろうかと思案し乍ら拾い上げれば、辺りを見回す彼。


「持ち主探さねえと、だな。」


そう独り言を零せば、落とし物の持ち主を探すべく早足で廊下を抜けて行った。

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