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走馬灯 ページ22

晩餐会で着るつもりだった桃色の着物に袖を通す。

長年箪笥の肥やしとなっていたせいで、どこか懐かしい香りがした。


"Aの御両親に、挨拶をさせて欲しい"


彼がそう言ったとき、私は一瞬頭の中が真っ白になった。

交通事故などで人が死に直面するとき、よく走馬灯を見ることがあると聞く。

あの時の感覚はそれに近かった。

なぜか幼い頃の思い出が脳内に鮮明に映し出されたのだ。

お父さんの手が私の頭を撫でる感覚、母の優しい笑顔、狭霧山の木々のざわめき、木漏れ日の匂い...。


記憶が蘇ると同時に、私はこの感覚をずっと待っていたような気がした。





A「お待たせ」


表で待っていた義勇さんに声を掛ける。



義勇さんは、黒の礼装で待っていた。

朝食を済ませた後、彼がこんな引き締まった紳士服に着替える物だから、私は緊張で気がおかしくなりそうだった。

いよいよ冗談の言えない雰囲気になった。


彼は私の姿をひと目見て、恥ずかしげもなくただ一言、綺麗だ、と言ってくれた。

母の形見であるこの着物は、太陽のもとでより一層その色味の美しさが引き立つ。



もしお父さんとお母さんが生きていたら

"Aも大きくなったわね、すごく似合ってる"

"若い頃の母さんにそっくりだよ"



..そんなふうに言ってくれたんだろうか。




A「行こっか」

冨岡「あぁ」



藤襲山からほど近い場所。

そこに2人は眠っている。

並んだ墓石→←猪がほわほわしています。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 ,   
作品ジャンル:アニメ
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ぱくいしこ(プロフ) - さちほさん» ありがとうございます!!!続編そろそろ、明日くらいに出しますので、そちらも宜しくおねげします!!!(T ^ T) (2019年12月21日 14時) (レス) id: b7bc820701 (このIDを非表示/違反報告)
さちほ - とても感動しました…!!ぜひぜひ続編を!!!!!待ってます!!!(初コメ失礼しました<(_ _)>) (2019年12月19日 0時) (レス) id: f2ed4fa8a3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱくいしこ(プロフ) - 陽向さん» 嬉しいです(号泣)ありがとうございます!続編楽しみにしてて下さい頑張りマッス!! (2019年12月19日 0時) (レス) id: b7bc820701 (このIDを非表示/違反報告)
陽向 - 絵がかわいい!!何かほっこりしました。この作品すごく好きです!これからも頑張って下さい! (2019年12月18日 18時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱくいしこ(プロフ) - ハミイさん» 絵まで褒めてくれて嬉しいです(血涙)。かまぼこ権八郎も描こうかなーウヘヘ(^O^) (2019年12月17日 10時) (レス) id: b7bc820701 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱくいしこ | 作成日時:2019年12月8日 22時

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