この一瞬を忘れない。 (ページ15)

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程よくお酒も入って、会話が進む

この人の独特な温かい雰囲気

話し上手であり、聞き上手でもある

そんなところに安心してしまったのか

なんで1人でニューヨーク来たの？

という質問に正直に話してみてもいいかもしれないと思った

この人なら聞いてくれるんじゃないか

そんな期待を込めて、私はヒロトのことすべてを話した

風磨「、、、なるほどね」

向かいで頬杖をつきながらずっと聞いていた彼は

私が話し終えるとしみじみとそう言った

「ダサいでしょ、私。

本当のことを確かめる勇気もなくて、ここに逃げて来ちゃったようなもん。」

風磨「ダサくなくね？」

「え？」

風磨「お前は、今でも信じてるわけでしょ？そいつのこと。

まぁ、俺には分かんねえよ。
一緒にいた女がそいつとどういう関係で

そいつはお前のことを本当はどう思ってるかなんて。」

ゆっくりゆっくり話を続ける彼

風磨「それでも、お前はそいつとちゃんと向き合うための気持ちを作るためにここへ来たんだろ？

逃げてねぇじゃん。だからダサくなんかないし、

俺は、むしろ偉いと思う。お前のこと。」

なぜかはわからない。

でも、心の奥にじーんと来て泣きそうになった

こんな私でも偉いとか言われて、

二股かけられてたかもしれないって笑われるような話なのに

真剣に聞いてくれる

気づいたらぽたぽたとテーブルに涙を落としていて

目を丸くした向かいの彼は

またくしゃっと笑うと

風磨「あー、よしよし。
俺、気にしないから好きなだけ泣いて？」

そんな言葉と共に頭を撫でられる

それに安心してまた涙がこぼれた