幸せになりたい【 伊黒小芭内 】

拾陸 ページ17

Aside


湯浴みが終わった伊黒さんは
どこか違った雰囲気を纏っていた。

白い肌で少し華奢だが
男性なので手はゴツゴツしている。
私は少し胸が高鳴った気がした。



「月影ッ、ここで何をしている？」

伊黒さんも困惑している。


「あのですね！お、お布団を敷くために
来ただけです！別にそのっ！何かしようなんて
思ってもいませんし、やる気もありません！」


相当混乱していたのかもしれない
自分でも何を言っているか分からなかった。




伊黒さんは頬を染めていて
私もそれが移ってしまった。







赤みがかった私の頬を
伊黒さんの手が伸びる。









反射で目を瞑ってしまった。




頬には伊黒さんの手の感触
凄く胸が高鳴った。伊黒さんもずっと
私の頬を撫でている。
何故か嫌な気がしなかった。








そして伊黒さんの手が私の頬を包んで
だんだん顔が近づいてきた。





鼓動が速くなる。
トクトクと音がなっている






これ以上はダメだと判断して









「伊黒さんッ！！」と叫んだ。
あと少しのところで接物をしてしまいそうな距離だった。








伊黒さんがハッと気づいた時には
私は急いで部屋を飛び出していた。



伊黒さんの呼ぶ声も聞こえたが
今はこの高鳴る胸をどうしても抑えたくて
たまらなかった。




私は幸せにはなれない。
自分に言い聞かせる。
言い聞かせてもなかなか収まらなくて、布団の中に
潜り込んだ。






さっきよりも鼓動がさらに速まっている気がする。


伊黒さんの手の感触や
白い肌が赤に染められていた頬
少し色気のある雰囲気。




色々思い出してしまい、余計に頬が染まった。





その日は眠れなかった。



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目覚めの悪い朝だった。



疲れの取れていない身体を奮い立たせて
身体を起こした。



少しの間は療養があるとしのぶさんから
聞いたが、身体がなまってしまうと思い
休もうにも休めない。



しのぶさんに会いに行った。




するとちょうどしのぶさんと会ったのだが
しのぶさんが私の顔をみて、目を見開いていた。


「A！隈がすごいですよ！
どうしたんですか？なにかありましたか？」


理由は言えるはずもないので
誤魔化した。







「少し気が緩んでしまって、あまり眠れなかったんですよ....でも大丈夫です。しのぶさん、心配してくださってありがとうございます。」


と言って何とか誤魔化すことが出来た。

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