【問答打】漢字三字。【短編集】

生誕祭#fksg ページ5

「おはようふくらさ〜〜〜〜ん、起きろ〜〜〜」
「んんぅ……」
ゆさゆさと誰かに体を揺さぶられる。
「今勤務中、眠いならちゃんと家で寝とけ」
うっすらと開いた目が捉えたのは、茶髪で高身長の男性。
「すぁい…さん…？」
「はいそうですよ、呂律回ってないね起きて」
「ん〜〜〜〜〜」
「ちょちょちょ、二度寝の段階に踏み込まないで」
その言葉を聞いても瞼は下がってくる。
「あー、ちゃんと起きてくれたらこの後誕プレあげようと思ってたのにな〜」
「プレゼント？！」
「おはようちゃんと起きたね偉い」
あ。
まんまと策略にはまってしまった。
でも恋人からのプレゼントなんて欲しくないわけがないだろう。
「うー、ちゃんと起きたんでプレゼントは絶対ですからね」
と言えば返ってきたのは余裕をかました笑いだった。

「お疲れ様でした〜！」
時は過ぎ退勤時刻に。
「お疲れ様です、…ねえ須貝さん」
「プレゼントくらい覚えてるよ、後でうち来な」
「っ！はい」
久し振りに彼の家に行くのでとてもわくわくする。

「お邪魔しま〜す…」
「あーどうぞどうぞ、好きにしてて」
彼の家に入るとふわりと広がる出汁の香り。
「何か作ってるんですか？」
「肉じゃが」
ふと脳内に嫌な考えがよぎる。
「え、それ人参入ってます？」
「…まあな、」
「うーわないわ」
「じゃー食わんでいいです〜〜」
「すみません食べます食べさせてください」
「ちゃんと玉ねぎも食えよ」
「嫌です」
しかし抗ったとて彼に敵うはずもなく。
俺の前に並べられた皿にはいくつかの野菜共がいた。
「…多くないですか」
「俺の皿を見てみろ、肉もじゃがもおらんぞ」
言われるまま皿を覗くと、そこには大量の人参と玉ねぎ。
俺のために自分の分を…
「まあふくらさん誕生日だしな、別にええよ」
と屈託のない笑みを見せる彼が愛おしい。
「でも誕生日って言うくらいなら野菜は入れないでほしかったです」
「それは無理。ちゃんと食え。」
「ﾁｯ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
あれ？浮上早くない？とか言わないでください。
お誕生日なのでしかたないのです。
明日まで続きます。

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