俺の彼女は一枚上手【うらたぬき】 ページ5
☆★☆
俺、うらたぬきには同棲している彼女がいる
俺よりも身長が高くて、年下で、おとなしい感じの子
そう思ってたんだけど―――
【カルピス】
「うらたさん、なんか飲む?」
「飲みた〜い」
素直にそう答えると、待ってましたとばかりにグラスを2つ持ったAがキッチンからやってきた
最近カルピスにはまっているらしく、ペットボトルではなく原液の方を買ってきている
表情を見るになかなかに上手くできたようだ
「うらたさんはこっちね」
そう言いながら俺の前にグラスを1つ置く
パッと見 普通のものより薄そうだけど……
まぁAの自信作みたいだしな
「見た感じ薄そうだけど……」
「いいから飲んでみて〜」
勧められるままにグラスを手に取り、口元へ運ぶ
やけに嬉しそうなAが気になるけど……
それだけ会心の出来なのだろうか
いただきま〜すと呟いて口をつける
クイッと液体を喉へ流しこんだ時、異変に気付いた
ーーーこれ、カルピスじゃねぇな。
落ち着け。落ち着け俺。
まずは状況を整理しよう。
コレはカルピスじゃない。
絶対に違う。だって一切味しないもん。
んで、作った張本人は俺を見ながら、ニコニコと自分の分を飲んでいる。
Aは舌バカじゃないから、あっちのはきっとカルピスだ。
よしよし、いいぞ。
わかってきた。
カルピス以外でこんな飲み物作れるのは、あれしかないな。
「だいぶ薄めたな」
「うん!だいぶ薄めた!おいしい?」
「う〜ん…うん。美味しいよ。Aも飲んでみるか?」
「え?いやぁ?私は私のあるし……」
予想外だったのか視線を彷徨わせ始めたA
これはもう確定だよな?
「いやいや!2つとも同じ味とは限らないじゃん!ね?飲んでみな?てか、飲め。ほら。美味しいから」
「こわいこわいこわい!」
「もう……誰に吹き込まれたの?それと一応聞いておくけどこれ何?」
「悪魔に囁かれたって言ってって、坂田くんに言われました……それはお察しのとおり牛乳です。牛乳と水を1対9で薄めました……」
「……だいぶ薄めたな」
「うん。だいぶ薄めた」
「この悪戯っ子」
こつんと頭を叩くと、えへへと笑ったA
いつか仕返ししてやるから。
この世界の片隅に、
幸せに暮らすたぬきと悪戯っ子のお話ーーー
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作者名:武蔵野 三歩止(ムサシノ ミホト) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2019年7月1日 16時