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☆★☆


扉を開けた先には長くて豪勢な机があった

そしてそこにはさっき会ったばかりの志麻くんともう一人

一番の上座に座ってる男性は赤を基調とした服を着て、片頬にはハートが付いている

坂田と同じくらい赤が似合うのは彼だ


こちらを見てにこやかにほほ笑む彼

間違いない



「天月くん…ですよね」


「うん!そうだよ!久しぶり、センラさん!」



そういって眩しいくらいの笑顔を向けてくる天月くん

彼はきっと赤の女王……否、赤の王様ってとこか




「こっちきて座りなよ。アリスももうすぐ来るから」



促されるままに席につく

もうすぐアリスと会える

聴きたいことがたくさんある

目の前の料理なんて目に入らないぐらい思考回路を巡らせていると、コツコツという足音が響いた




「来たみたいだね」



天月くんはそういうと、センラが入ってきたところとは別の扉へ視線を向けた

つられてセンラも見ると、扉が開き人が一人やってきた


長くて綺麗な金髪にそれと同じ色の瞳

青いリボンを頭のてっぺんで結び、青いスカートを着ている

まさにアリスだった


彼女はまっすぐにこちらへ歩いてくると、天月くんに挨拶をしてセンラの正面に座った

目が合って、はにかんで見せたアリスに懐かしさを感じたのはなぜだろう

彼女の香りに覚えがあるのはなぜだろう

初めて会ったはずなのに




「ずっと……会いたかった……」




ためらいながらもそういったアリス

あ、俺はこの声を知っている……

だけど思い出せない

ただ似た声なのかもしれない

呆然とアリスを見つめていると、自分の口が勝手に動き出した




「なに勝手にいなくなってんや……心配したやろ……」




思考とは関係なく発された言葉

そんなことを知らないアリスは、困ったように微笑んだ

それすらもどうしてか胸を締め付けてやまない




「お友達、たくさんできたんだね。まぁ×××××は昔からそういう人か。

ごめんね。急にいなくなっちゃって……また会えてよかった」


「なにいうてんのや……これからもずっと会えるやろ?一緒に帰ろう…な?」




自分がどうして必死なのかわからない

どうしてこんなに悲しいのかもわからない

ただアリスが自分にとって大切な人物だってことは察せた

そしてもう会えないことも……

歪みだした視界がタイムリミットを告げる


「今度はちゃんとさよならしよう。お兄ちゃん」


「ッ!!待って、A―――…」

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作者名:武蔵野 三歩止(ムサシノ ミホト) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年7月1日 16時

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