【リレー小説】この無慈悲な世界に能力で希望を【第九章】

夜叉の怨念【叶胡天秋･叶川千春/天秋】 ページ12

ーーー天秋 sideーーー



千春が倒れたと知って驚いた。



あの子は



病気なんて持病以外一度もしたことがなくて、剣術にかければ村一番。



持病以外で倒れたことなんてほとんどなかったのに。




ただ、やり過ぎなところはあった。



帝華と自分を守るためなら、どんな犠牲も厭わない。そんな子で。



一度、帝華を拐ったことのある悪霊と呼ばれる類いに立ち向かって、惨敗したことがあった。




その時に千春は、その悪霊にかけられた怨念を抱え込んで、わたしと入れ替わった。




その時から千春の背には、炎のような形の赤い痣がある。




六年間、怨念の苦しみに耐えながらわたしを表に出してくれていた。




それから、帝華がオークションに拐われたのを知ってまた心の傷を増やした。




あの悪霊は、誰だったんだろうね。





あれを倒さないと、千春は痣の苦しみから抜け出せない。




早く正体を突き止めたい。





そんな中で、時間は刻一刻とすぎていく。






帝華と戦わなければいけないときはもうすぐ来る。





それは、千春との戦いでもあって。






「千春も、帝華が大好きだもんね。」





痣は誰にも消せない。




あの悪霊以外。






だけど、千春は戦うんだろうな。




大切なお姫様(帝華)のために。

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