【リレー小説】この無慈悲な世界に能力で希望を【第三章】 (ページ24)

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いない【神月いのり/ユウミ】ページ24

怜加さんを探して、あちこち歩き回ったけれどどこにも見当たらない。

もっと、遠い場所にいるのだろうか。

探しに行きたいけれど、ホテル…と呼べるのかこれは…から離れるのも気がかりだ。

私は、木に寄りかかってふと、どうしてこうなったのか。と思った。

「大樹の下で、女の子が能力を見せてほしいと言って…

それで、怜加さんが見せて……あら？」

私を指を折りながら思い出そうとしたが、記憶が混乱しているのか、順序がおかしなことになっている。

まさか、人生150年も生きてこんな怒涛の一日に巻き込まれるなんて思っていなかった。

もう、いいかな。

我慢しなくても、泣いてもいいかな。

私は、秋華に教えてもらった。帝華さんはこの先長くはないと。

別に、彼女が死ぬのが悲しいんじゃない。

仲間がいなくなるのが寂しいのだ。

「私もすっかり、染められたなぁ…」

ずっと少人数で生きてきたから、ひとりくらいいなくなったって大丈夫だと思ったのに。

突然、オーラが盾をつくった。

近くにいた小鳥が、バタンと倒れる。

「毒…か、ウイルス……」

私は駆け出した。毒かウイルスなら、あの姉妹の他に容疑者は見当がつかない。

ホテルに戻ると、そこは倒れた能力者まみれだった。

さきほど、オークションを行っていた部屋に飛び込む。

威勢よくドアを開けたは良いものの、私はすぐに強烈な吐き気に倒れそうになった。

帝華さんが倒れている。身体の一部が、ない。

「天秋さん…」

私は、全てを知っている人物に呼びかけた…がそれは、天秋さんのようで何か違う人。

「違う。天秋さんじゃない！あなた、誰？」

私は震えながら願った。

どうか、希望を。