【リレー小説】この無慈悲な世界に能力で希望を【第二章】 (ページ29)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:6,509 hit

裏の裏は表じゃない？【叶胡帝華/蓮@雫3318】ページ29

天秋は、まっすぐな瞳で私を見据えた。

「だからってわたしはあなたを消したり、見殺しにしたりはしない。」

「もう一人じゃ無いんだから。

少しはわたし(姉)やみんな(能力者)を

信じて、頼ってよ。」

「わたしは、誰も死なせないよ。」

私の奥深くを見られてしまった。

ああ、馬鹿正直で、本当に馬鹿で、控え目なくせに自意識過剰。

むにっと姉のほっぺを掴む。

そして、ほっぺを思いっきり

「ばーか。」

ギリギリと両サイドに引っ張る。

「ちょっ?!帝華?!痛い痛い!」

「うるさい。馬鹿。」

馬鹿正直で、裏をかくとか言ってるけど。

「裏の裏は表じゃない?」

にやりと笑ってやった。

そして、最後に

「仕方無いから、今回は引き分けにしてあげるよ。馬鹿天秋」

そう言って、ハッピーエンド…のはずなのに

私があげた物忘れ草、踏み潰してる。

それにかなーりイラっときて

ウイルスを思いっきり注いでやった。

「ちょっ?!酷くない帝華?!能力は無しでしょー?!」

と、叫ぶ姉に吹き出す。

此処にきて、始めての本当の笑顔。

コロコロと鈴のような笑い声が鼓膜を震わせる。

だけど、最後に

「天秋、私はギャンブラーだから、手駒を作ることは辞めない。」

すると、天秋の顔が歪んだ。けど、

「けどね、ちゃんと、手駒として扱う時と、

とっ…と、と、友達…と、して扱う時を…分けて、見る…よ。」

顔に血が上る。きっと今は真っ赤だろう。

(素直になるってこんなに恥ずかしいの…?!)

すると、天秋がぱぁっと笑って、私に飛び付く。

「帝華ーッ!!!」

「うっ、うるさい!離れてよ!馬鹿!」

いつの間にか起きていた能力者達に微笑ましい目で見られていて、さらに私が真っ赤になったのは、別の話。