【リレー小説】この無慈悲な世界に能力で希望を【第二章】 (ページ16)

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覚悟と命【叶胡天秋/天秋】ページ16

「ん…。」

わたしは、ゆっくりと目を開けた。

服の裾に重みを感じてそちらを見ると、いのりさんが小さく寝息をたてていた。

いつもより早い目覚めと軽い体に、いのりさんが治療してくれたのかと納得する。

「確か…女の子を助けに行って、男達を毒でやって…それから…」

記憶が曖昧だ。

ただ、男達の中で無事だったやつが

「顔は覚えたからな」だの

「復讐してやる」だの

ぐだぐだ言っていたのははっきり覚えてる。

「あの女の子は、無事かな？」

ふと大樹の方を見ると、能力者の皆さん…帝華さん以外が、何故か苦しんでいた。

忘れてた…。帝華さんは、そういう能力者だ。

そして、わたしに帝華さんのウイルスはあまり効かない。

わたしも一応毒を扱うし、医学には通じてる方だから。

「帝華さん、どうして今能力を…」

その辺に、帝華さんの能力と打ち消し合う様な効果を持った花を咲かせる。

たぶん、これで一先ず大丈夫なはず。

無効化は出来ないけれど、打ち消して除去することならわたしにも出来る。

わたしがもう一度帝華さんに向き直ると、彼女はわたしの目と鼻の先まで近づいてきた。

空気の圧迫感がすごい。

こんなに力強い圧は久しぶりだ。

ねぇ、帝華さん。

わたしは以前お会いした時と少しだけ変わりました。

あなたの裏をかいて

もう手駒にはならない。

純粋な友達でいたいな。

「帝華さん、わたしの力じゃ限界があります。

完全にはこのウイルスを無効化出来ない。

これはお披露目ですよね…？

早く解除してあげてください。」

自分でも驚くほど低い声が出た。