Angel of Death【雷堂メラ】

5話　生活道路裏にて ページ8

フッと路地裏から現れた少女は、猫と共にこの場から立ち去った。
あの首元の切られた様な傷…まだ出来たてだろう。
ぶつかった彼、『雷堂メラ』はそう悟った。

少女が出てきた路地裏をそっと覗くと、そこには一つの質素な生活空間が出来上がっていた。
恐らく、彼の目から見ると、何年も住んでいる様に見えている。
実際、そうなのだから。
メラは、哀れだと思いつつ、少女のことを思い返していた。


…恐らく、メラより年下か、同年代。
3色の髪色はどうも目立つ。
あんな髪色だったら見た目を覚えるのも早そうだが…メラは学校であんな生徒は見たこと無い。

名前、聞いときゃ良かったなと今になって後悔する彼。



「お〜い!メラー!!」

「あ、兄貴」



さっき少女が駆けていった方向は、ジンペイ達が登校中だった。
メラは、さっきの少女の事を聞いてみるが、誰も知らないという返事。
そんなこんなで学園につくとジンペイはハッとした様に言った。



「今日テスト返却日じゃん!?」

「あ…」



小間君もジンペイの言葉を聞き、顔を青ざめる。
どうやら、マタロウは察しが付いたようで。



ジンペイ、小間君、そして自分は大丈夫だと思いこんでいたマタロウ。
この三人は見事に赤点範囲に入り、“赤点取らず収容所”へと運ばれていった。

放課後になってもジンペイらは帰ってこぬYSPクラブ。
フブキとメラは教室に入るなり、ジンペイが引き受けたあの問題について話し合った。
メラは、できるだけ正確に会話内容を伝える。



「…机を片すのも上からの命令だから、早くしなければ私が処分されてしまうって言ったのは確かですね?」

「ああ。そう言ってた」



その言葉に違和感を持ったのか、フブキはう〜んと頭を捻り出す。
メラもそれに違和感を持ち始めると、フブキが喋りだした。



「私が処分されてしまう…あたかも、霊鬼神さんがもう処分が決まっているかのような言い方…」

「上からの命令ってのも気になるな…先生の上は…学園長か…?」

「なら、学園長と同じ権力を持っているとされている“生徒会”も候補の内ね……ま、どうせジンペイ君達は帰って来ないと思うし…学園長のところに行ってみます?」



メラは黙ったまま頷く。
そして、学園長室へと向かった。

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