Angel of Death【雷堂メラ】

20話　夢と現実の境目で ページ23

―Aside―




＿＿＿＿＿立ち止まった行き止まり。


追手は居ないことを確認し、ホッとした。
ちょっと前を向く。
それを見ただけで、表情がこわばった。




黒い、どす黒い大きな黒い影“何か”が視界に映る。




右へ、左へ、ゆらゆらと不規則に揺れながら段々と近づいてくる。
まるでホラーゲームのよう。
その黒い何かは、顔は見えなかったが、笑っていた。
不敵に、愉快に、嘲笑うように。
いくつもの笑いが混ざり、凄まじく不気味で。

ついにソイツは目の前まで来た。
自分の視界に黒いモヤが薄黒く広がっていく。
まるで霧の濃い山奥に居る気分だ。


その時、ソイツは光る物を手にした。
一心不乱に私はそれを避ける。
しかし、また首元にかすった。
コイツは首を狙ってる?
それにしては動きが凄く乱れている。


何度か避けカスリを繰り返した刹那、勢いで地面に腰を打ち付ける。
地面にペタリと座って居るからか、下から見た黒いソイツは、さらに恐怖を感じさせられた。
目の前を覆う黒い霧は着々と濃くなっていく。



嗚呼、もう終わりかな?



最後に視界全体に広がった白黒のピエロの顔。

ヒッと声を上げたのち、黒い霧は全面を、隙間なく埋め尽くした＿＿＿＿＿＿＿









-









薄目を開け、周りの状況を確認する。
倒れていた筈の地面は固く、草でチクチクしている筈なのに、今は違った。
暖かさに包まれて、それに上にもなにか掛かっている様。

何度か瞬きをし、目を擦り、今度はしっかりと周りを見る。
白い天井、黄色いカーテンの仕切り、聞こえる声。
今の所二人の声しか聞こえない

ここは外じゃない。
さっきのは…夢?
一体何処から何処まで…。
黒いモヤが出始めた頃から…?


今にも閉じそうな目で、じっと考える。
その時、仕切りの隙間に人影が見えた。
その人は、隙間からチラッとこちらを覗くと、また視線を前に戻した。


…どこかで会ったことあるような…?


懸命に記憶を絞り出していると、いつの間にか体が起き上がったようで。
シャッという音を立て、素早くカーテンが開いた。

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