アベルさん、アテネちゃん、マカロンさん、アルトくんの物語

8話　透過 ページ9

―アベルside―



アベル「ア、アテネ？……アテネェェェ！」



驚いた。
アテネがフラフラして立っている。
目は開いているのに、こっちを見ている感じがしない。
けど、地味に喋っているのは聞こえる。



アテネ「わぁ……ヒマ…リ……原…ぁ」

アベル「アテネ、アテネ、どうしたの？」



返事は、一切返してくれない。
けど、このあと驚きの言葉を発した。



アテネ「ア……ルト君…？」


アベル「アルト君……あ」



確か、マカロンさんのところの相方が、アルト君だったような気がする。
えぇ!?アルト君も同じ状況ってこと!?
じゃあマカロンさんも困惑してるよね!?



アベル「アテネ、とりあえず行こう!!」



俺は、アテネの手を引っ張った……つもりだった。
が、俺の手は、アテネの手をするりと抜けていった。


まるで、アテネが透過したように。

9話　相違点→←7話　リアル世界

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す