#7 ページ35
〈T.side〉
いつものように病室へ行き
帰ろうとする時に、彼女は俺に
「ありがとう」と言った。
上手く言葉にはなってないけれど
ちゃんと俺の耳にはそう聞こえて理解した。
直感で感じ取る。
俺は静かに彼女の唇に唇を重ねた。
「俺の方こそありがとう。」
俺たちは互いに見つめ合い笑顔でお別れをした。
病室をでたあと
何時間後かに電話が鳴る。
俺は自分が思っていたより冷静だった。
それは彼女が前もって俺に教えてくれたからだろう。
静かに病室に戻ると彼女の周りをみんなが囲んでいた。
彼女はすごく穏やかに眠っている。
「くるまくん、いつもありがとう……。」
彼女のお母さんにそう声をかけられて俺は首を横に振る。
「感謝するのは俺の方です。
彼女と付き合って1年。
多くのことを学びました。
一緒にいることが出来て、Aさんに…沢山の幸せをもらいましたから。」
周りが悲しむ中で俺だけは
涙を見せることはなかった。
＊＊＊
いつもの日常に戻る。
慌ただしく時間が過ぎ
相方には無理しなくていいよと言われたけれど
無理してる訳では無い。
俺よりも彼女の相方、ホノカの方が暫く心配だった。
でもそんな心配を他所に
俺の彼女はみんなに優しく芸人仲間に心から愛されていたのだろう…。
彼女の残した愛は、目に見えるもので
彼女の相方を支えるには十分、俺が何かしなくてもホノカの周りは彼女が残した温もりがあった。
そう言えば入院している時も手紙が必ず彼女の手元に置いてあったし
葬式に行った時も、俺の知らない後輩達が参列してみんな泣いていた。
本当に…俺の彼女は自慢のできる女性だった。
そんな彼女が俺に託した未来を俺はきっと掴んでみせる。
大丈夫。きっと俺達ならいけるはずだ。
＊＊＊
彼女にもらった御守りを衣装の胸ポケットに入れて大きな舞台の前に立つ。
自然と緊張はしていなかった。
「はいどうもー。」
相方のケムリも普段通りだ。
そう俺達は普段通り最高の漫才をすれば良い。
沢山の笑い声が聞こえる中、俺達はなんと勝ち進んでいくことが出来た。
そして…今日最後の漫才を披露する。
胸ポケットに入れていた御守りから少しだけ温もりを感じた。
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木葉林檎(プロフ) - Kuraさん» 遅くなりすみませんm(*_ _)mこちらこそリクエストいただけてありがとうございました！ (3月4日 6時) (
レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
Kura(プロフ) - リクエストありがとうございました！とっても素敵なお話でキュンキュンしました💕 (2月8日 21時) (レス) id: 1c73b17f59 (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - そらさん» ありがとうございますm(*_ _)m今後ともよろしくお願いします(*^^*) (1月29日 16時) (レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - リクエスト書いて頂きありがとうございました。最高で､素敵なお話でした。忙しいとは思いますがこれからもお話楽しみにしています。🙇🏻♀️ (1月27日 22時) (レス) id: 794dd15670 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 木葉林檎さん» 大変申し訳ございませんでした。再開された際もしよければお願いいたします。 (1月21日 8時) (レス) id: 1458cfae01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木葉林檎 | 作成日時：2023年12月29日 2時
