#5 ページ33
〈T.side〉
「芸人さんって毎年やってるでしょ？
えむワンだったかしら…？
それに娘も今年は決勝まで行くんだ！そう言って張り切ってたんだけど…
くるまくん達もそのつもりだったのでしょ…？
でも娘がこうなっちゃって今年は諦めたのでしょうから…。
それで来年には優勝して欲しいって思って
私に買ってきて欲しいって頼んできたのよ。」
「Aありがとう、じゃあこれ持って帰るね？」
彼女は笑顔で頷いた。
俺はそれを確認して病室から出ると
Aの母親がやってくる。
「あの、くるまくん……？
もし重荷に感じてるならそれ処分してくれて良いからね？
娘の前では、ああは言ったけれど
貴方もまだ若いことだし全てを背負ってくれなくて良いから…。」
彼女の母親も、彼女と一緒で他人にすごく優しい人なんだと思う。
でも俺は笑顔で返事を返した。
「来年。俺は彼女の気持ちと
相方の思い、3人の未来を背負って必ず優勝するので見てて下さい。」
「くるまくん…。」
俺は頭を下げてその場を後にした。
＊＊＊
年を越して
去年と変わらず同じ生活を過ごす。
時間の合間に彼女に会いに行き元気をもらう。
俺達に残された時間はあと僅かだと知っているから。
「A、起きてる？」
彼女は座ってる時間より最近は横になってる時間が多くなってきた。
だけど俺が来ると必ず笑顔で出迎えてくれる。
少し冷たい手を握ると彼女は握り返そうとしてくれる。
俺はそれだけで胸がいっぱいになる。
彼女の前では絶対泣かない。
涙は見せない。
彼女が笑ってくれるなら
俺も彼女に笑顔だけを見せていよう。
最後まで思い出すのは俺の笑顔でいて欲しいから。
だけど1人になると涙腺が馬鹿になるようで
涙が止まらなくなる。
なぜ、彼女なのだろうか
何故、俺の大切な人がこんな事になったのだろうか
答えが出ない質問を俺は幾度となく繰り返す。
そして机に向かって俺はネタを考える。
この時だけは何も考えないように
全ての神経を机の上に集中させるのだった。
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木葉林檎(プロフ) - Kuraさん» 遅くなりすみませんm(*_ _)mこちらこそリクエストいただけてありがとうございました！ (3月4日 6時) (
レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
Kura(プロフ) - リクエストありがとうございました！とっても素敵なお話でキュンキュンしました💕 (2月8日 21時) (レス) id: 1c73b17f59 (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - そらさん» ありがとうございますm(*_ _)m今後ともよろしくお願いします(*^^*) (1月29日 16時) (レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - リクエスト書いて頂きありがとうございました。最高で､素敵なお話でした。忙しいとは思いますがこれからもお話楽しみにしています。🙇🏻♀️ (1月27日 22時) (レス) id: 794dd15670 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 木葉林檎さん» 大変申し訳ございませんでした。再開された際もしよければお願いいたします。 (1月21日 8時) (レス) id: 1458cfae01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木葉林檎 | 作成日時：2023年12月29日 2時
