S.END ページ19
あの日から目も合わせてくれなくなった彼を待ち伏せする。
相方のせいや君に仕事の日を訊ねておいたのだ。
テレビ局の廊下を歩く彼を見つけて私は腕を掴む。
彼はいきなりの事で驚くが私だと気付くと腕を振り払って歩き出してしまった。
「待って…！お願い…！」
「触んな。もうどうでもええから。」
冷たくなってしまった彼に対して私は今更ながら後悔して泣きそうになる。
だけどここで引き下がる訳には行かない。
私はもう一度彼の前に立ち「話を聞いて欲しい…。」そう言った。
「…俺もうすぐ出番やから。」
彼は私の肩を軽く押してそのまま通り過ぎていく。
「私…、粗品君が好き！
気付いたの！今更遅いかもしれない…、だけど…それだけはちゃんと伝えたいって思ったから…！」
廊下でこんな声を出して気持ちを伝えることなんて
きっとこの先…ないだろう。
だけど後悔したくなかった。
私は自分の気持ちを打ち明けたあと
彼に背を向けて歩き始めた。
私の気持ちを伝えるには……もう遅すぎたのだ。
「本間、Aちゃんはズルいよな。」
彼は私を後ろから抱きしめてくれている。
一瞬何が起きたのか理解できなくて戸惑っていると
「頑張って嫌いになろうとしてたのに…一瞬で心戻されたわ」
彼はそう言って私を正面へと向き直させた。
「…だって気付いちゃったんだもん…。
粗品君がいなくなって私の心の中…ぽっかり穴が空いちゃったことに…」
「俺を選ぶって相当ギャンブラーやで？ええの？」
彼は笑ってそう言った。
「粗品君が良いの…。」
私が困ったように笑うと彼は私の目を真剣に見つめ
「俺を選んでくれたんやから、絶対後悔させへん。」
あの時拒んだはずの彼のキスを私は何も言わずに受け入れた。
「…ねえ、粗品君？」
「ん？」
「ここ…一応…局の廊下だから……」
何となく現実に戻され恥ずかしくなって笑うと
彼は周りを見て
「本間や、忘れてた…！
でも誰も見てへんし……もう一回だけ抱きしめさせて…？」
彼は笑って今度は先程と違い私を強く抱き締めた。
「仕事終わったら…今日会える？」
「うん。終わったら連絡するわ。
なあ、今日は帰さんでもええやろ？」
私が静かに頷くと彼は嬉しそうに笑って
「行ってきます！」
元気に手を振って収録へと向かっていった。
私はこの結果に後悔なんかしていない。
彼の人生の記憶の中に入れるなら私はそれだけで十分幸せなのだから……。
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木葉林檎(プロフ) - capoeiraさん» いえ、こちらこそ楽しく書かせていただけました(*ˊ˘ˋ*)長くなってしまってすみません(￣▽￣;)またよろしくお願いします(＞人＜;) (12月29日 14時) (
レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
capoeira - 木葉さんこんにちは！リクエストを叶えていただきありがとうございました！毎回キュンキュンさせてもらってます！リクエスト内容、申し訳なかったです🙇🏻♀️🙇🏻♀️これからも楽しみにしてます！ (12月29日 12時) (レス) id: 7e00ae5964 (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - そらさん» 少しお待ちいただくと思います、よろしくお願いします(*ˊ˘ˋ*) (12月27日 22時) (レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - コメント失礼します。リクエストで又死ネタなんですが、令和ロマンのくるまさんで同期の夢主と付き合って一年の時に夢主が急に病気で亡くなってしまって数年後にM1で優勝した時に夢主が近くに居ておめでとうと言ってるように感じたお話を出来ればお願いします。 (12月26日 7時) (レス) id: 794dd15670 (このIDを非表示/違反報告)
木葉林檎(プロフ) - ばたこさん» コメントありがとうございます♪優勝して波に乗ってますよね(*ˊ˘ˋ*)少しリクエストが溜まっているので少し遅くなりますが必ず書かせてもらいますのでお待ちくださいm(_ _)m (12月25日 23時) (レス) id: 6f2b6533e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木葉林檎 | 作成日時：2023年12月8日 0時
