貴方にだけ愛されたい

#8 ページ28

〜Mサイド〜

「お疲れ様でしたー！」
スタッフさん達に挨拶をされる。

俺も出番を終えて
みんなに挨拶を返した。


そして次の収録のために1度楽屋に戻る。


「あ、Aから連絡来てるわ。」


リリーがスマホ片手にそう言った。

「なんてなんて？？」


今朝のことが頭によぎる。

よくよく考えたら俺も恥ずかしくなってきた。

「ホンマに何もしてへんのやな」


「当たり前やんけ、言うたやん！命かけるって！」


「見た目の割には小心者やなー」


「なんとでも言え！」

俺もスマホを手に取る。

Aから連絡来てた。

それだけで俺の胸は高鳴る。

【お疲れ様です。
今日は沢山迷惑かけてしまってごめんなさい。
今テレビをつけたら、お2人が出てました。
めっちゃ漫才面白かったです。
ただ、今日はそれだけじゃなくて
盛山さんから目が離せませんでした。】


鼓動が早くなるのが自分でもわかる。

スマホを開いたまま固まってると
後ろからリリーが声をかけてきた。

「普通に脈アリやん。」


「うわっ！お前勝手に人の連絡覗き見るなや！」

女子のようにスマホを隠す。

「え？なに？昨日何があったん？」

ニヤニヤしながら俺に問いかけてくる。

「別になんもないよ。
ちょっとタバコ吸ってくるわ！
ついてくんなよ！！」


「なんやねん、ソワソワして電話でもするんか？」


「いちいち俺の心読んでくんな！」

タバコを握りしめて楽屋から出て
誰もいない喫煙所に入った。

何コール目かですぐにAに繋がった。

「お疲れ様です…どないしました？」


「おう、お疲れ！」
いつも通り、いつも通り話せば大丈夫や。

「わざわざありがとうな、見てくれて。」


「いえ、」
少しの間沈黙が続く…。

「あのさ…」
「すみません、しばらくの間距離あけたいです。」
被せるようにAが言った。


「は？なんで…」


「このままだと、盛山さんのこと意識してしもて
普通に接すること難しいんで…」

「何でそれがあかんの？」

「だって…」

「俺は嬉しいで？さっき家から出る時も言うたやん。男として見て欲しいって」


「でも……」

「だってとかでもやあらへんよ、
今日仕事か？」


「一応…あと1時間ほどしたら現場向かいます」


「わかった。俺も仕事やけど終わったらそっち向かうわ」

「え？」

「住所送っといて」

そう一方的に言って電話を切った。

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